波乱の9月相場を振り返って

波乱の9月相場が終わりました。日経平均の月足のボリンジャーバンド(20月)では、マイナス2シグマ(バンドの下限)を終値ベースで下抜ける結果となりました。新型コロナショックによる急落時に安値をつけた2020年3月以来となります。

私は、当面の見方として、プラス2シグマ(バンドの上限)を上抜けていくシナリオを想定していましたが、そうではありませんでした。

ボリンジャーバンドには逆張り手法と順張り手法があり、順張り手法では株価がバンドの上限を終値で上抜けると上昇に大きく動き出すことが多く、バンドの下限を下抜けると下落に大きく動き出すことが多いという特徴があります。つまり、9月はバンドの下限を下抜けたことで、下降トレンドに向けた順張りサインが点灯したと言えます。

トレンドラインで見る相場、今後の動きとは

一方、図表のように、2012年秋口の安値を起点とした長期上昇トレンドライン上を依然として保っており、9月は大幅安だったといえども、あくまでも長期上昇局面における短期的な調整に過ぎない、という判断ができます。

【図表】日経平均株価のインターナル・トレンドライン(月足)(2010/10~2022/9)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

ここでいうトレンドラインとは、インターナル・トレンドラインのことです。これは、トレンドラインを引く時に、上下に行き過ぎた高値や安値をトレンドラインの通過点としない考え方です。

行き過ぎた値を除外し、より多くの節目を通るように引いたものです。本質的な価格推移を抽出しようという趣旨で引かれるものなので、通常のトレンドラインよりも優れている可能性があります。

テクニカル分析には、よく「ダマシ」が発生します。ただ、ダマシは2度続けて起こりません。そういった意味では10月は正念場です。ボリンジャーバンドのマイナス2シグマを下抜けた状態が続き、かつ、インターナル・トレンドラインも終値で下回るようだと、9月の下落はダマシではなくなり、年末に向けて調整幅を広げる可能性がある点には留意が必要です。

逆に、10月もインターナル・トレンドライン上を保ち、早々に2020年4月(新型コロナショックで急落した翌月)のような陽線でマイナス2シグマ上まで切り返せると、9月の下落はダマシとなり、長期上昇局面は依然として続いているという判断ができそうです。