今週(9月2日~9月8日)の相場動向
相場回顧 BTC:米金利上昇のなか米国株とともに下落、ETHが下支える
ビットコインは軟調な展開となった。8月米雇用統計では雇用の堅調さが示された一方で、失業率の上昇を受けて過度な利上げ懸念が後退した。これにより一時は買いが強まったが、米レイバー・デイ(9月5日)を前に手仕舞う動きや、欧州における天然ガス不足の懸念などの影響で米国株とともに下落した。イーサリアムが強い値動きとなるなかBTC=280万円(19,500ドル)付近では底堅く推移した。
しかし、9月7日にかけては米ISM関連の経済指標が堅調だったことで米長期金利が大きく上昇し、米国株とともに下落してBTC=273(19,000ドル)を割り込んだ。その後、ブレイナードFRB副議長のタカ派発言もみられたが、米長期金利の上昇が一服したことで買い戻しが強まった。
イーサリアムがPoS移行の第一段階を無事に完了したことも相場全体を支えた。9月8日に開かれたECB理事会では前回を上回る0.75ポイント利上げが決定されたが、利上げ幅が市場予想と一致していたため相場への影響は限定的となった。同日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長発言もジャクソンホール会議での内容を繰り返すサプライズなしとなった。
来週(9月9日~9月15日)の相場予想
BTCは欧米の8月消費者物価指数の内容を見極める展開、ETHマージも近い
金融市場では各国における利上げ観測が強まっている。今週にかけて米長期金利の上昇は一服しているが、当局者の発言などを受けて再びそれが上昇に向かったときには米国株とともに売りが強まるだろう。来週は欧米ともに8月消費者物価指数(CPI)の発表を控える。米国では直近の経済指標で仕入れ価格や賃金の上昇が落ち着いており、これがインフレ鈍化を示唆する内容であった場合には買い戻しが強まるだろう。逆にインフレ継続を印象づける内容であった場合には今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75ポイント利上げが意識されて下落する恐れがある。一方、欧州では天然ガス不足の影響が重く、前月末に発表されたCPIの速報値を上回る伸びとなった場合には市場全体で売りが強まるだろう。
暗号資産市場ではいよいよイーサリアムのPoS移行が近く、早ければ来週中にアップデートを完了することになる。株式市場で売りが強まるなかでも、イーサリアムへの期待によって相場は底堅さを保っているが、イベント前後の反動売りによって一気に下げが加速する可能性も考えられる。一方、PoS移行後にもステーキング分をすぐには引き出せないため売り圧は限定的であるとの見方もある。いずれにしてもイベント前後には思惑的な売買にともなうボラティリティに警戒が必要だろう。
直近上値としてBTC=301万円(21,000ドル)、下値としてBTC=244万円(17,000ドル)を意識する。
※1ドル=143.50円で換算(執筆時)