モトリーフール米国本社、2022年9月4日 投稿記事より

主なポイント

・消費者はアップル製品を好み続け、アップルは莫大な金を株主に還元
・マイクロソフトは未来の産業で存在感を示すことで、長期的成長を目指す

既に世界最大級の規模を誇るが、依然として成長余地が残っている

世の中が100年に1度のパンデミックに見舞われる中、ハイテク投資家は、2020年と2021年の目覚ましい株価上昇から恩恵を受けました。革新性の高い米国企業は、人々が困難を乗り越えるのを手助けし、相応の見返りを受けました。ところが、2022年になって経済環境が変化し、高インフレと金利上昇の時代に移行するのに伴い、株式市場はそれまでの上昇分の一部を返上することになりました。

その結果、ハイテク株を中心としたナスダック100指数は弱気相場入りし、年初来で24%下落しています。しかし歴史は、下落相場こそが最高の買い場であることを証明しています。ざっくり言うと、十分な時間さえあれば、株価はいずれ回復して過去最高値を更新するからです。

重要なことは、優良銘柄に注目することです。アップルとマイクロソフトは、時価総額がそれぞれ2兆5,000億ドルと1兆9,000億ドルと、既に米国の上場企業の中で最も時価総額の大きい企業ですが、将来的に最高クラスのパフォーマンスを挙げる可能性があります。その理由は以下の通りです。

アップル

株式市場が大きく変動している時、世界的に優れた投資家のやり方を参考にするというのは、不確実性を乗り切るための1つの方法です。ウォーレン・バフェット氏は多くの人が認める投資の天才であり、本コラム執筆時点において、バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの投資ポートフォリオの中で、アップル株は42%(金額ベース)を占めています。

アップルは、卓越した、文化を変える企業です。同社はスマートフォンのiPhoneを高級品から多くの消費者の必需品に変え、Apple WatchやワイヤレスイヤホンのAirPodsといったさまざまな関連製品を次々と売り出しています。Apple WatchとAirPodsはどちらも人気商品で、年間数十億ドルに上る売上を生み出しています。アップルはまた、デバイスとシームレスに統合された、収益性の高いサービスのエコシステムも構築しており、投資家はこの部分を特に有望視しています。

アップルは、Apple News、Apple Music、Apple TV+、Apple Pay(最近、後払いサービスのApple Pay Laterも追加)といった一連のサービスを提供しています。直近の2022年9月期第3四半期(6月25日まで)の売上高829億ドルのうち、これらサービス部門の売上高は23.6%を占めるにすぎませんが、好材料として、サービス部門の粗利益率は71%と、ハードウェア事業の52%を大幅に上回っています。

その上、ハードウェア事業の売上高は前年同期比で横ばいでしたが、サービス売上は同12%増と急成長しており、全社の成長を牽引しています。ただし、9月以降は次世代iPhoneの発売に伴って、ハードウェアの売上も伸びると予想されます。

消費者は、景気減速で財布のひもを締める中でも、収入の一部を喜んでアップルの製品やサービスに充てています。それこそが、投資家がアップルを手放すのをためらう1つの理由です。アップル株の年初来下落率は約10%で、ナスダック100指数の下落率の半分以下です。もう1つの理由は、アップルが株主に莫大な金額を還元していることです。

年間0.6%の配当利回りに加えて、アップルは今期これまでに640億ドルを上回る自社株買いを実施しており、最近も自社株買いの規模を900億ドル引き上げる計画を発表しました。特に昨今の厳しい市場環境において、アップルは、バフェット氏のようなベテラン投資家にとっての条件をほぼすべて満たしているのです。

マイクロソフト

1980年代から1990年代にかけて、マイクロソフトとアップルは激しいライバル関係にありました。熾烈な企業間競争において、両者が勝利を収めることは稀ですが、数十年経った今、両社は世界最大の企業2社となっています。最近では、両社の事業は若干異なる方向に向かっていますが、ハードウェアなどの一部の分野では依然として競合しており、仮想現実(VR)といった新しい技術が普及すれば、そうした分野が戦場となる可能性があります。

マイクロソフトには3つの主要事業部門があり、その中で最大の事業がインテリジェントクラウド部門です。その中核にある「アジュール」は、データストレージや機械学習アプリケーションといった何百というさまざまなソリューションを通じて、企業のオンライン業務移行を支援することを目的としたクラウドサービスプラットフォームです。この分野にはアップルでさえも参入しておらず、テクノロジーの展望がここ数十年でいかに様変わりしたかを浮き彫りにしています。

アジュールは、2022年6月期に45%という驚異的成長率を遂げました。インテリジェントクラウド部門全体は25%の成長にとどまりましたが、売上高750億ドルという規模を考えれば無理もありません。規模が大きくなるほど、高い成長率を維持するのは困難になります。しかし、調査会社グランド・ビュー・リサーチの推定によると、クラウドコンピューティングの市場規模は2030年までに年間1兆5,000億ドルに達する可能性があり、アジュールは既に業界第2位のプレーヤーであることは注目に値します。

マイクロソフトはゲーム分野でも存在感を高めており、主力製品のXboxプラットフォームをベースに、ユーザーがお気に入りのゲームタイトルにオンラインでアクセスでき、アップデートやパッチをダウンロードする必要がないXbox Cloud Gamingなどの新サービスを打ち出しています。クラウドゲーム業界はまだ黎明期で、2022年の推定市場規模は32億ドルですが、2029年には408億ドルと、年率43%を上回る爆発的成長が見込まれます。

マイクロソフトは、未来の産業で存在感を示すことで長期的な繁栄を目指しています。同社の株式を保有することで、投資家は急速に拡大するデジタル経済の一端に投資することができます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Anthony Di Pizioは、記載されているどの銘柄にもポジションを保有していません。モトリーフール米国本社はアップル、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)、マイクロソフトの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは以下のオプションを推奨しています。バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の200ドルコールのロング、アップルの2023年3月満期の120ドルコールのロング、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の200ドルプットのショート、バークシャー・ハサウェイ(クラスB)の2023年1月満期の265ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。