モトリーフール米国本社、2022年8月23日 投稿記事より

主なポイント

・テスラが中国で直面する課題は持続
・ベルリンとテキサスの新工場が上海工場の減産を穴埋め
・主力の上海工場での生産をめぐるリスクは高止まりしているが、同工場の四半期生産台数は過去最高を更新する可能性

テスラは厳しい自動車市場の中でも逆境に負けず、第3四半期は成長が加速する可能性も

2022年第3四半期も半分以上を終え、電気自動車メーカーであるテスラの納車状況についての見通しが明らかになってきました。残念ながら、現時点での予測はかなり保守的な見方を織り込む必要があります。テスラが生産能力最大の工場を持つ中国では、不確実性が極めて高いままだからです。

2022年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大抑制を目的とした上海市の取り組みの一環として、政府から操業制限を命じられた影響で、テスラの生産台数は大幅に減少しました。現在は、猛暑の中で電力が不足し、製造業の操業が脅かされていることから、テスラのサプライチェーンに混乱が生じる恐れがあります。

しかし、テスラが長引く不確実性に直面しているとはいえ、今四半期の納車見通しについて全く予測できないわけではありません。さらに重要なことに、テスラの事業を注意深く観察すると、目の前の課題にもかかわらず、同社の第3四半期以降の成長見通しがバラ色であることが分かります。

力強い成長が見込まれる

テスラの第3四半期の納車台数を正確に予想することは困難ですが、1つだけ確実なのは、前年同期比で大幅な成長が見込まれるということです。

テスラの第2四半期の世界納車台数は前年同期比27%増となりましたが、これには、同四半期の大半で上海の大型工場が一時閉鎖や操業制限を余儀なくされたことも含まれています。こうした制約がある中でも世界生産台数をこれほど急速に伸ばすことができたことは、同社の勢いを物語っています。会社側によれば、上海工場の月間生産台数は6月に過去最高を更新しました。電力制限により、今四半期の残り期間の生産台数に影響が及ぶ可能性もありますが、同社は既に上海工場で相当数の自動車を生産していると思われます。

最後に、経営陣は第2四半期決算発表の中で、2022年下半期の増産の可能性について楽観的な見方を示しました。第2四半期決算発表の時点で既に下半期に入って数週間が経っており、足元の業績や上海の課題についての見通しが明確になりつつあったことを考えると、楽観的なトーンからは、第3四半期の中国および世界の生産台数や納車台数の好調が示唆されます。

テスラの新工場について

中国での長引く課題は、重要市場におけるテスラの生産にとって引き続きリスクですが、同社が米カリフォルニア州の既存工場に加えて、先ごろドイツと米テキサス州で新工場を稼働したことを忘れてはいけません。

第2四半期決算の際の最新情報によると、ドイツのベルリンとテキサス州オースティンに建設された新工場には、最終的にそれぞれが年間25万台超を生産できるだけの設備が導入されています。上海工場の年産能力は約75万台、カリフォルニア工場は約65万台です。

当然ながら、新工場で生産が軌道に乗るまでには時間がかかりますが、経営陣は、稼働率が第2四半期に順調に推移したことを明らかにしました。このペースは第3四半期も続くとみられます。

これらのことから、テスラの第3四半期の納車台数は、前四半期比で大幅に増加し、第1四半期の水準まで回復する可能性があります。テスラの第1四半期の納車台数は31万台超、第2四半期は減少して25万台を割り込みました。第3四半期は、第1四半期実績を回復する、あるいはそれを上回る可能性が十分にあります。第3四半期の納車台数が31万5,000台以上となった場合、前年同期比で30%超の伸び率となり、第2四半期の27%増から加速することになります。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Daniel Sparksは、記載されているどの銘柄にもポジションを保有していません。同氏の顧客は、記載されている銘柄の株式を保有している可能性があります。モトリーフール米国本社はテスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。