東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに大幅反発となりました。432円高の28,251円で寄り付いた日経平均は直後に388円高の28,207円を付けた後上げ幅を広げると11時20分前に687円高の28,507円まで上昇し660円高の28,479円で前場を終えました。669円高の28,488円でスタートした後場の日経平均は大きく押すことなく堅調に推移し引けにかけてやや上げ幅を広げると結局727円高の28,546円で取引を終え高値引けとなっています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となりました。

2.個別銘柄等

ソフトバンクグループ(9984)が5.6%高となりました。保有するアリババ集団株の一部を放出し7-9月期に再評価益など4兆6000億円計上する見込みだと発表したことで買いを集めました。第1四半期決算を発表し業績予想を上方修正したホンダ(7267)やDOWAホールディングス(5714)も大幅高となりました。ホンダは対ドルの為替レートを円安方向に変更したことで2023年3月期の営業利益の見通しを8100億円から8300億円に引き上げたことや自社株買いを発表したことで3.8%高となり、DOWAホールディングスも円安で主力の製錬事業の採算が改善することなどから2023年3月期の営業利益の見通しを500億円から585億円に引き上げたことで8.9%高となりました。上期決算を発表したNIPPON EXPRESSホールディングス(9147)も8.1%高となりました。主要国における生産・販売活動の再開により国際貨物輸送が伸びていることなどから2022年12月期の営業利益の見通しを1100億円から1200億円に上方修正したことや自社株買いを発表したことで大幅高となりました。

一方で11時30分に第1四半期決算を発表した川崎重工業(7012)が一時3.7%安となりました。想定為替レートを円安に見直したことなどで2023年3月期の純利益の見通しを290億円から320億円に引き上げましたが市場予想に届かなかったことで後場に下落に転じ下げ幅を広げる場面がありました。上期決算を発表した資生堂(4911)も一時6.2%安となりました。国内で化粧品市場の回復が遅れていることなどから2022年12月期のコア営業利益の見通しを620億円から400億円に下方修正し一転して減益予想となったことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は727円高となりました。昨日の米国市場は小幅に高安まちまちとなりましたが、10日の米国市場が7月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回りインフレ懸念が和らいだことで米連邦準備理事会(FRB)による利上げ加速の観測が後退し大幅反発となったことから買いが優勢となり上げ幅を大きく広げました。2021年9月に付けた高値(30,670円)と今年3月に付けた安値(24,717円)の61.8%戻し(28,396円)を達成したことで今後の展開に期待が高まりますが、節目の28,500円を回復し戻り待ちの売りも出やすいなかで週明け以降もさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、3月決算銘柄の第1四半期決算発表や12月決算銘柄の上期決算発表が続いていますが、本日も引け後にはリクルートホールディングス(6098)やすかいらーくホールディングス(3197)、電通グループ(4324)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には7月の米輸出入物価指数が発表されるほか、23時には8月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)