投資信託は、個人投資家が金融資産の運用を行うにあたって活用すべきメリットの大きな商品です。その運用手法は、大きくインデックス運用とアクティブ運用に分けられます。
インデックスファンドは市場平均に連動したインデックス運用によって市場平均を上回る運用成果を目指します。一方のアクティブファンドは、銘柄選択によって市場平均を上回るリターンを目指すアクティブ運用による投資手法です。
テーマ型ファンドは好成績になりにくい
アクティブファンドの代表は「テーマ型ファンド」と呼ばれるものです。これは、一定のテーマに沿って銘柄選択を行い、運用するものです。
例えば、人工知能が人気になるとAIファンドが設定されたり、米国でシェールガスが採掘された際にはシェール革命ファンドのようなエネルギーをテーマにしたファンドが増えたりしたのが典型的な例です。
最近も、話題になっているESG投信が数多く設定されました。ESG投資とは、環境・社会・企業統治に配慮した企業への投資を指します。また、ESG投資によって、高いリターンを実現することを目的としているのがESG投信です。
しかし、これらのテーマ型ファンドは、世の中の変化の後追いになっていることが多く、テーマ自体にそもそも付加価値が存在しない可能性もあります。
また、テーマに合致した銘柄の選択基準が不明確という批判もあります。ESG投信に関しては「ウォッシュ」と呼ばれる見せかけだけのESG対応が世界的な問題となり、金融庁が監督姿勢を強めています。
テーマ型投信の中には、長期の運用期間の中で高い運用成績を実現しているものもゼロではありません。しかし、上記のような問題から、インデックスファンドを超える運用成果を実現できないファンドも多いのです。
過去の運用成績が良くても将来は保証されない
テーマ型以外のアクティブファンドについても、インデックスファンドに勝ち続けるのは簡単ではありません。
過去の運用パフォーマンスを参考にすることがありますが、過去の運用成績が良くても、それで将来が保証されるわけではないからです。
運用成績が良いファンドが個人投資家の間で知られるようになると、そのファンドに資金が大量に流入することがあります。
アクティブファンドは、投資対象を厳選する必要があり、それには限界があります。運用能力を超えた大量の資金がファンドに流入した場合、現金としてファンド内に滞留させるわけにはいかず、不本意な投資対象を選ばざるを得なくなってしまいます。
その結果、好調だった運用成績が低迷することがあり得るのです。
高コストが運用成績を低下させる
さらに、アクティブファンドは信託報酬のような運用にかかるコストが、インデックスファンドに比べ高い傾向があります。
インデックスファンドの場合、規模が大きくなれば信託報酬を引き下げ、より運用成果の改善につなげるファンドも珍しくありません。
アクティブファンドの運用成績がインデックスファンドを上回ったとしても、コスト差引後のパフォーマンスが下がってしまえば、せっかくの高リターンも帳消しになってしまいます。
アクティブファンドはインデックスに勝ちにくい
ここまで書いてきたように、アクティブファンドはインデックスファンドに比べ、運用成績で勝ちにくい構造的な問題があるように思います。
もちろん、すべてのアクティブファンドがインデックスファンドに勝てないわけではありません。
しかし、確率的に考えれば、アクティブファンドは分が悪く、インデックスファンドを投資信託選びのメインにするのが良いと思われます。