先週はネットフリックスやテスラの好決算で米国株式市場に安堵感
先週、S&P500は2.5%上昇し3,962ポイントで終わりました。ナスダック100も3.4%上昇し、12,396ポイントで1週間を終えました。
これまで米国株式市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)が勢いを増して利上げを行うことを懸念していました。しかし、経済のスローダウンを示唆する経済指標が発表されたこともあり、マーケットのコンセンサスでは今週の利上げは75ベーシスポイント(0.75%)となり、その後は利上げのペースが徐々に緩やかになるという見方に変わってきています。このような投資家の心境の変化をマーケットは好感したのだと思います。
米国で始まった第2四半期の決算発表については、S&P500採用銘柄のうち104社が発表を終えており、これまでのところ7割以上の企業が事前予想を上回っています。
先週注目されたネットフリックス(NFLX)やテスラ(TSLA)はアナリストの事前予想を上回る決算結果を発表し、株式市場全体に安堵感を与えてくれました。
そんなマーケットに冷や水を浴びせたのが7月22日(金)に決算を発表したソーシャル・メディアのスナップ(SNAP)で、決算結果が事前予想を下回りました。これを受け同社の株価は1日で39%下落。同じくデジタル広告を行っているアルファベット(GOOGL)は5.6%、メタ・プラットフォームズ(META)は7.9%それぞれ下げる展開となりました。
決算発表はまだ始まったばかりですから、これまでの決算発表を受けて今後を楽観視することはできません。しかし、先週の上昇でテクニカル的にマーケットにとって強気のシグナルが出たことで少し安心感が出ています。
7月19日のNYSE上場銘柄の上昇は強気のサインか
7月19日(火)の1日の上げではニューヨーク証券取引所(NYSE)上場銘柄の93.4%が上昇しました。これほど多くの銘柄が1日に上昇するのは珍しいことのようです。テクニカルアナリストは、この出来事は今後の上昇の継続を示唆するものとして、強気のサインと見ています。
バンク・オブ・アメリカの調査によると、これまで1日でNYSE上場銘柄の9割以上が上昇した70回において、その後30日では73.4%の確率でリターンはプラスであり、その間の平均上昇率は3.19%(中央値)となっています。また、65日間で見るとプラスになった確率は80.8%であり、この間の平均上昇率は6.58%となっています。
これまでのGAFAM決算発表を受けた教訓
今週は7月26、27日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が予定されており、GAFAMの決算発表も続きます。目先のマーケットの注目はGAFAMの決算です。これまでのマーケットの下げは、今後のマクロ環境の悪化を織り込んでおり、GAFAM企業の業績についても一定の悲観的な見方は織り込み済みではないかと思います。
これまでのアップル(AAPL)の7回の決算発表後では事前予想を上回る決算結果を発表していますが、そのうち翌日に株価が上がったのは7回のうち1回だけです。
アマゾン(AMZN)についても同じく過去7回の決算結果は事前予想を上回ったものの、株価が上がったのは1回しかありません。
マイクロソフト(MSFT)も過去8回の決算発表で事前予想を上回る結果を出しても、翌日4回は株価が下がっているのです。
それでもこれらの銘柄は今回マーケットが調整するまでに史上最高値を更新し続けています。ですから、決算発表を受けて翌日株価が下がったとしても、それだけで必ずしも悲観的になる必要はないのではないか、というのがこれまでの決算発表を受けての教訓です。