東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は6日続伸となりました。52円安の27,627円で寄り付いた日経平均はまもなくしてプラスに転じましたが、2円高の27,683円で上値が押さえられると下げ幅を広げ10時30分に130円安の27,549円まで下落しました。しかし、節目の27,500円を前に下げ渋ると持ち直し22円安の27,657円で前場を終えました。プラスに転じ42円高の27,722円でスタートした後場の日経平均は引けにかけて上げ幅を広げると122円高の27,803円で取引を終え高値引けとなりました。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

塩野義製薬(4507)が6.8%安となりました。厚生労働省の専門家分科会が塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス治療薬のゾコーバの承認を見送り継続審議すると決めたことを失望した売りが出ました。日本電産(6594)も一時4.1%安となりました。車載事業が前期に続き赤字となり第1四半期の営業利益も前年同期比でほぼ横ばいに止まったことから売りが優勢となりました。また、国内大手証券が投資判断と目標株価を引き下げたことで鉄鋼大手3社が安く、日本製鉄(5401)が3.0%安、JFEホールディングス(5411)が3.2%安、神戸製鋼所(5406)も3.3%安となりました。

一方でエイチ・アイ・エス(9603)が一時5.0%高となりました。傘下の大型リゾート施設のハウステンボスを売却する方向で調整しており、売却額が数百億円規模になるとみられると伝わったことで買いが優勢となりました。しかし、朝方の買い一巡後に伸び悩むとマイナスとなる場面もありました。企業間商取引の電子基盤を提供するインフォマート(2492)も14.4%高となりました。業務効率化の機運の高まりで飲食店などが食材卸業者との受発注業務を電子化する需要が高まっていることなどから通期の業績予想を上方修正したことで買いを集めました。東証スタンダード市場では半導体製造関連装置を手掛けるフェローテック(6890)も3.1%高となりました。パワー半導体基板を製造する中国子会社が新しく工場を建設すると発表したことが材料視されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は122円高となりました。昨日までの5日間で1,300円以上上げていたこともあって売りが先行しましたが、下げ渋ると日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和政策の維持を決めたこともあり後場に入って買いが優勢となりました。その結果昨日に回復した200日移動平均線(27,599円)を維持しましたが、200日移動平均線を超えてくると押し戻される展開が続いているだけに明日以降も200日移動平均線を引き続き上回って推移することができるかがポイントとなりそうです。

なお、3月決算企業の第1四半期決算発表がスタートしていますが本日も引け後にはオービック(4684)やディスコ(6146)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の20時45分には欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が発表されるほか、21時30分には米新規失業保険申請件数や7月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数などが、そして23時には6月の米景気先行指標総合指数が発表される予定です。さらに21日の米国ではトラベラーズ(TRV)やダウ(DOW)、AT&T(T)、スナップ(SNAP)などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)