今週(6月24日~6月30日)の相場動向
相場回顧 BTC:米金利上昇の一服により一時は買い戻しが強まるも上値は重い
ビットコインは、米国金利の上昇が一服したことでインフレ懸念が後退し、米国株ととも買い戻し優勢となった。破綻が取り沙汰されている米セルシウスの資産購入を米ゴールドマン・サックスが準備しているとの報道もあるなか、最大8%幅まで広がっていたETHとstETH(※)のマイナス乖離が縮小したことも買い安心感につながった。一時BTC=292万円(21500ドル)付近まで価格を伸ばしたが、6月の米消費者信頼感が低下し、景気後退懸念が高まると米国株とともに再び売りが強まった。
同じく破綻の危機にあるスリーアロウズキャピタルが債務不履行の状態に陥り、市場では二次的な影響への懸念も広がった。加サイファーパンクが保有するビットコインとイーサリアムを全て売却したことが明らかになるなど企業による売りも確認され、ビットコインはBTC=272万円(20000ドル)付近まで下落した。逆に米マイクロストラテジーが約3ヵ月ぶりにビットコインを買い増す動きもあったが、相場への影響は限定的だった。週末にかけては5月の米個人消費支出の伸び鈍化でBTC=258万円(19000ドル)付近まで下落した。
※ステークド・イーサ:イーサリアムをステーキング仲介業者に預けることによって付与されるトークン
来週(7月1日~7月7日)の相場予想
BTCは軟調な展開が継続、FOMC議事要旨と米雇用統計に注目
金融市場では米国金利上昇が一服したことでインフレ懸念は後退しているものの、パウエルFRB議長が景気後退の可能性を認めたことで米国のスタグフレーション入りが改めて懸念されている。国際決済銀行(BIS)も世界経済のスタグフレーションリスクを報告書のなかで指摘している。来週はFOMC議事要旨の発表を控えており、来月の0.75ポイント利上げの予想が強まったときには売りが強まることも考えられるだろう。また、米6月雇用統計の数値が悪化したときにも景気後退懸念から売られる可能性がある。
暗号資産市場ではいよいよセルシウスやスリーアロウズキャピタルの破綻リスクが高まっている。ビットコインの価格がBTC=272万円(20000ドル)付近で下げ止まっているため、今回の暴落で経営状況が悪化している企業が追加的には出ていないが、上記2社の破綻が事実となったときにはさらなる悪い連鎖が起きて売りが強まる可能性がある。今週に米マイクロストラテジーがビットコインの買い増しを発表したが、同社もビットコインを担保にレバレッジ取引をしているため、暴落時に清算が発生する懸念が残っている。
直近上値としてBTC=313万円(23000ドル)、下値としてBTC=245万円(18000ドル)を意識する。