ストラテジーレポートで述べた通り、米国株の調整はひと段落したと見る。今週は戻りを試す週となるだろう。カギを握るのは米国の長期金利の動きだ。その意味で今週の注目材料は17日発表の4月の小売売上高だ。市場予想は前月比1.0%増と、3月実績の0.7%増を上回る見通しである。個人消費が堅調であるのは景気後退懸念の払しょくにつながるのでポジティブだが、同時に長期金利の上昇も招くだろう。小売売上高が予想通り堅調な結果となった場合、株式市場がどのような反応を見せるかで、市場センチメントが最悪期を脱したかどうか判断される。
日本株が先週末に大幅高を演じたのは米国株の調整完了を意識したからだ。米国のインフレ率鈍化、それを素直に受けた長期金利の低下、グロース主体のナスダックの大幅反発。その延長線上に日経平均の678円高という急伸があった。しかし、それだけでなく、日本株相場の独自のアク抜け感も見られた。1兆7000億円を超える信じられないような巨額最終赤字を計上したソフトバンクグループ(9984)の株価が急伸した。相場の地合いは悪くない証拠だろう。
今週の経済指標は日本では16日に4月企業物価指数、4月工作機械受注が発表される。同じく16日にロックダウンの影響が懸念される中国では4月の鉱工業生産、小売売上高など重要指標の発表が集中する。同日、米国では5月ニューヨーク連銀景気指数、翌17日に小売売上高、18日に1-3月期GDP速報値、19日にフィラデルフィア連銀景気指数が発表される。
決算発表はピークを過ぎたが、週初の電通(4324)、リクルート(6098)、三菱UFJ(8306)などは注目される。米国ではウォルマートやターゲット、ホームデポなどの小売り決算があるほか、ハイテクではシスコ・システムズ、そして19日に発表されるアプライド・マテリアルズに注目が集まる。日本株が上値を追うにはハイテク・グロース株、なかでも半導体株の値動き次第だが、それに大きな影響を与えるのがアプライド・マテリアルズの決算だからである。
今週、日経平均が戻りを試すとすればターゲットは2万7000円の大台回復だが、その前には下降している25日、75日線が2万6800円台にあり、上値の抵抗線となりそうだ。逆にこれらをあっさり抜ければ2万7000円台の戻り待ち売りもこなしてさらに上値の目途が開ける展開か。