今週(5月6日~5月12日)の相場動向

相場回顧 BTC:米国株が大幅下落するなか、人気ステーブルコインの崩壊によって2021年最安値付近まで暴落

ビットコインは米国における金融引き締めへの懸念が強まるなか米国株とともに売り優勢の展開が続いた。9日には米国長期金利の上昇や中国の新型コロナ感染拡大にともなう景気減速への懸念などによって、米国株とともにBTC=387万円(30000ドル)付近まで大きく下落し、2022年の最安値を更新した。その後、暗号資産市場が全面安となるなか米ドル連動のアルゴリズム型ステーブルコインであるテラUSD(UST)の価格乖離が拡大すると、テラ発行のルナ(LUNA)が暴落し、ビットコインなどの準備金売却への懸念が強まった。また、コインベース【COIN】が22年Q1決算で上場後初めて大幅赤字を計上し、株価下落で同社の信用不安が台頭した。さらに4月の米消費者物価指数が市場予想を上回ったことで当面のインフレ継続が意識され、12日にはBTC=387万円(30000ドル)からさらに下落し、米国株も続落するなかで2021年の最安値であるBTC=355万円(27500ドル)付近までも割り込んだ。

 

来週(5月13日~5月19日)の相場予想

金融市場と暗号資産市場で広がる懸念、BTCは2021年底値を大きく割り込む可能性も

金融市場では数十年ぶりとなる歴史的なインフレと円安の進行によって多くの人が経験したことのないリスクに見舞われている。米国をはじめ各国が金融引き締めへと動くなか、ロシア・ウクライナ間の戦争や中国の新型コロナ感染拡大などの不透明材料も重なり、このまま調整局面が続くことが考えられる。来週に欧州・日本の消費者物価指数も市場予想を上回った場合には世界的なインフレが意識され、さらに売りが強まることもあるだろう。

暗号資産市場においても、ビットコイン価格の急落をきっかけに、アルゴリズム型ステーブルコインのテラUSDが分散型金融(DeFi)市場におけるシステミックリスクを引き起こし、大きな懸念が広がっている。これを受けてイエレン米財務長官やゲンスラー米SEC委員長ら当局者もステーブルコイン規制の必要性を訴えており、今後、米国を中心に暗号資産規制を強化する動きが出てきた際には売りが強まる可能性もあるだろう。

ビットコインは今回の暴落によって年々切りあがってきた底値の水準を割り込むこととなった。その付近を買い場と捉える向きもあるため相応に底堅さを示すだろうが、さらに売りが加速した時にはBTC=310万円(24000ドル)やBTC=258万円(20000ドル)といった水準が下値として意識されるだろう。直近の上値としてはBTC=413万円(32000ドル)を意識する。