ロシアのウクライナ侵攻、米国の金融政策の転換、世界的なインフレの顕在化など、これまでの資産運用の手法に再考を迫る大きな変化が起こり、環境悪化への懸念から、投資家心理にネガティブな影響を与えています。

資産運用ではテクニックよりも「心得」が大切

マーケットの不確定要因が増え、将来に対する不確実性が高まると、資産運用の進め方に確信が持てなくなり、迷いが生まれます。

しかし、大きな環境変化の中で大切なのは、マーケットの予想をあれこれ考えるよりも、「心得」を再確認することです。
私が資産運用において忘れてはいけないと考えている大切な心得を7つにまとめてみました。

「7つの心得」で資産運用の成果を高めることができる

心得1.事実と解釈を分類する

投資に関する様々な情報が配信されていますが、その中には事実と情報提供している人の分析や解釈が混在しています。

「事実は1つ、解釈は無限」です。分析や解釈はその人の主観であり、大きなバイアスがかかっていることも珍しくありません。事実は数値化されていれば、客観的なデータ情報として活用することができます。この2つを分けて整理する習慣を付けることが大切です。

心得2.感情的にならない

相場の急激な変動が起こったり、良きせぬ事態が発生したりすると、冷静な判断ができなくなり、パニック状態から感情的に行動してしまうことがあります。

資産運用において感情的にならないためには、感情のコントロールを心がけるだけではなく、ロジカルに資産運用ができるように予めルールを決めておくことです。資産配分の数値化や、利食い・損切りの判断基準を数値化することで、感情的な投資による損失の拡大を減らすことができます。

心得3.過去に影響されない

マーケットに大きな変化が起こるときには、過去のデータは参考になりません。同じことが繰り返されるとは限らないからです。

金融緩和局面から金融引締めに転換する。デフレからインフレに変化する。このような変化の中では、過去のやり方を変える必要が出てきます。

今までのデータを参考にすることは大切ですが、それに基づいて投資判断を行うことは必ずしも正しい結果をもたらすとは限らないことを忘れないようにしましょう。

心得4.リスクを取りすぎない

自分が許容できるリスクよりも大きなリスクを取り、想定外のマーケット変動が起こると、コントロールができなくなり、結果的に大きな損失につながります。

うまくいっているからといって過信することなく、自分が取るべきリスクの範囲内で投資を続けるべきです。

市場の動きが自分の想定と逆になったときに耐えられないような大きなリスクは、取らないように注意しなければなりません。

心得5.わからないことはやらない

自分が理解できない投資対象に無理に資金を入れる必要はありません。自分が理解できる範囲を投資対象とし、その中から利益を上げることは十分に可能だからです。

どこから利益が得られるのかよくわからない「ブラックボックス化」された投資商品がありますが、このような投資対象に資金を投じるのは避けるべきです。損失が発生したときに、その理由がわからず、投資の成果をあげることが難しいと考えるからです。

心得6.変えるべきことと変えてはいけないことを知る

心得3とは矛盾するかもしれませんが、マーケット環境が変わっても変わらない投資の基本があります。

例えば、分散投資や長期の視点の重要性、投資のコストを引き下げることなどは、いつまでも変わらない投資の普遍的な大原則といえます。これらの投資の大原則は、マーケット環境が変わったとしても、変わることはありません。

心得7.最善を望みながら最悪を覚悟する

投資を始めるときに考えるべきことは、うまくいったらどうなるかではなく、最悪の場合どのような結果になるかです。

とはいえ、悲観的になるべきではなく、最悪の事態を想定した上で、最善を望むと言うポジティブな姿勢が、リスクを取るインセンティブにつながり、投資の成果をあげることにつながります。

基本的な心得をしっかり守り、それを継続することで、資産運用の良い結果につなげることができます。自分の資産運用が思い通りにいかない場合は、7つの心得ができているかどうかをセルフチェックしてみてください。