新たな窓が発生し、75日移動平均線を突破
前回のコラムでは、短期の移動平均線が中期の移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生しているものの、25日移動平均線が上向きに変化するまで底入れしたとは言えない状況だと解説しました。
しかし、上の図表を見ると25日移動平均線だけでなく、3月23日には新たな窓をあけて75日移動平均線も一気に上回った後、さらに上昇が続いて下向きの200日移動平均線に接近しているのが分かります。
ただ、3月25日は200日移動平均線を上回って取引が始まったものの、終値では押し返されており、今後は終値で200日移動平均線を上回って維持することができるのかが注目されます。
そのような中、今回新たに発生した窓はどの種類の窓になるのでしょうか。「この窓の種類が何か」を考えることが、今後の値動きを予測するヒントになるのではないかと思われます。
私は今回新たに発生した窓は、コモンギャップ(=普通の窓)ではないかと考えています。理由は、過去の値幅の範囲内にあるからです。
そのため、上昇が止まって反落し始めると、これまで発生した4つの窓を埋める水準まで株価が反落してしまうことが考えられます。したがって、ここからの値動きにはこれまで以上に注意が必要と思われます。
200日移動平均線と上値の抵抗線を突破して維持できるか
では、どのようなチャートの形になれば窓埋めは回避されるのでしょうか。そこで重要な分岐点になると考えられるのが、200日移動平均線を上回って維持できるかです。
仮に200日移動平均線上を回復して維持するようですと、ここでも短期の移動平均線が長期の移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生すると同時に、200日移動平均線が下向きから上向きに変化することが考えられ、株価のサポートに変わることが期待されます。
こうなりますと、株価は本格的な上昇トレンド入りを示唆することになると考えられます。その反面、200日移動平均線上を回復しても維持できなかったり、回復できずに反落して5日移動平均線を下回ったりするようですと、200日移動平均線上を回復することが難しくなると同時に、窓を埋める可能性が高まると考えられるのです。
また、今回は200日移動平均線に加え、もう1つ越えなければならない重要な壁があります。それは、2021年9月14日の終値と2022年1月4日の終値を結んで延長したトレンドラインです。
過去の値動きを見ますと、この下向きのトレンドラインで株価が押し返されています。そのため、今回もこの下向きのトレンドラインが上値の抵抗線(=レジスタンスライン)となって株価を押し返す可能性があり、買いポジションを持っている投資家は反落に警戒が必要なタイミングと考えられるのです。
3月29日の夜、ウクライナとロシアの停戦交渉に対する進展期待が高まっていると伝わりました。そのことが、果たして200日移動平均線と上値の抵抗線の2つの壁を越えるきっかけになるのか、今週はこれまで以上に重要な局面に差し掛かっていると言えそうです。