先週の日経平均は2019年9月3-17日以来となる9連騰を演じた。そのひとつの背景は権利配当取りの動きや、四半期末・年度末の年金基金のリバランス、機関投資家の配当再投資を見越した先回り買いなどの需給要因だ。それだけに今週29日の権利付き最終日、30日の権利落ち日当たりでは反動も出やすく、波乱の値動きを警戒したい。ただし、3月上旬まで大幅に売り越した海外投資家は中旬から買い越しに転じたが、彼らの買いは継続する公算が高い。特に4月は海外投資家が買い越す特異月でもある。
日本株上昇のもうひとつの要因は円安だ。先週は一時1ドル122円台と2015年12月以来の水準まで円安が進んだが、さすがにピッチが速すぎると警戒感も台頭する。そのなかで注目は日本の10年債利回りだ。先週、新発10年物国債利回りは一時0.24%と、日銀が上限とする0.25%に接近した。日銀が指値オペで金利上昇を抑えにくれば、円安が一段と進む可能性があり、注目したい。
今週は月末月初で重要指標の発表が目白押し。29日に日銀金融政策決定会合の主な意見、米国の消費者信頼感指数、30日にADP全米雇用統計、31日に日本の2月鉱工業生産、中国の製造業PMI、米国のPCEデフレータ、4月1日には日銀短観、米国でISM製造業景気指数と雇用統計などが発表される。いずれも重要だが、PCEデフレータと雇用統計の平均時給はインフレ指標として特に注目される。
その他の重要イベントとしては石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」の協議(31日)がある。
決算は国内ではニトリHD(9843)、米国ではマイクロン・テクノロジーに注目したい。
最後に波乱材料として米国金利の上昇を挙げたい。先週、米国の10年債利回りは2019年5月以来2年10カ月ぶりとなる2.5%台を付けた。ストラテジーレポートで指摘した通り、S&P500の益利回りと10年債利回りの差であるイールドスプレッドは急低下し、3%を大きく下回っている。これは株価が債券に対して割高となっている状態で、いつ株価の調整が起きても不思議ではない。金利上昇にもかかわらず米国株は堅調さを保っているが、金利見合いのバリュエーション面の観点からはかなり割高であることを認識しておきたい。