【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 33,131.76 ▼464.85 (2/23)
NASDAQ: 13,037.49 ▼344.03 (2/23)
1.概況
22日の米国市場はロシアがウクライナ東部の一部地域の独立を承認し同地域への軍の派遣を決めたことに対して、バイデン米大統領がロシアに対し大規模な金融・経済制裁に踏み切ると表明するなどロシアと米欧の関係が一段と悪化するとの警戒感から大幅続落となりました。105ドル安でスタートしたダウ平均は朝方に54ドル安まで持ち直す場面がありましたが、戻し切れないと下げ幅を大きく広げ午後に入ると714ドル安まで下落しました。その後下げ渋り280ドル安程度まで一旦持ち直しましたが、引けにかけて再び下げ幅を広げると結局482ドル安の33,596ドルで取引を終え4日続落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も166ポイント安の13,381ポイントとなりこちらも4日続落となりました。
昨日の米国市場もウクライナ情勢の緊迫化を懸念した売りが続き大幅続落となりました。自律反発狙いの買いが入り84ドル高でスタートしたダウ平均は直後に235ドル高まで上昇しましたが、買いが続かず上げ幅を縮めるとマイナスに転じ昼前に150ドル安程度まで下落しました。その後一旦持ち直したダウ平均はプラスに転じましたが、30ドル高程度で伸び悩むと再びマイナスとなり下げ幅を広げ取引終盤に511ドル安まで下落し結局464ドル安の33,131ドルで取引を終え5日続落となっています。また、ナスダック総合株価指数も344ポイント安の13,037ポイントとなりこちらも5日続落となりました。
2.経済指標等
22日に発表となった2021年12月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数で20都市圏住宅価格指数は前年同月比18.6%上昇し市場予想を上回りました。2月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値も57.5と前月から上昇し市場予想を上回りました。2月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数も110.5と前月から低下しましたが市場予想を上回っています。
3.業種別動向
22日の業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも一般消費財・サービスが3%安となったほか、エネルギーと素材も1%を超える下落となりました。また、コミュニケーション・サービスと資本財・サービスも1%近く下げています。
昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち10業種が下げ、一般消費財・サービスが3%を超える下落となったほか、情報技術も2%以上下げました。一方でエネルギーが1%高となっています。
4.個別銘柄動向
22日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中25銘柄が下げました。そのなかでも決算で利益率が悪化したホーム・デポ(HD)が9%近く下げ下落率トップとなったほか、ボーイング(BA)も5%近く下げました。ナイキ(NKE)も3%を超える下落となり、ウォルト・ディズニー(DIS)も2%以上下げています。一方でマクドナルド(MCD)が1%近く上昇し、アムジェン(AMGN)とトラベラーズ(TRV)、ハネウェル・インターナショナル(HON)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)も小幅に上げています。ダウ平均構成銘柄以外では主力ハイテク株が安く、なかでも電気自動車のテスラ(TSLA)が4%余り下げ、動画配信のネットフリックス(NFLX)も3%を超える下落となっています。フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(FB)も2%近く下げました。
昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中28銘柄が下げました。そのなかでもシスコシステムズ(CSCO)が3%以上下げ下落率トップとなったほか、マイクロソフト(MSFT)とアップル(AAPL)、ホーム・デポ(HD)、ビザ(V)、キャタピラー(CAT)、セールスフォース・ドットコム(CRM)、JPモルガン・チェース(JPM)も2%を超える下落となっています。一方で原油価格の上昇を受けてシェブロン(CVX)が2%を上回る上昇となり、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)も小幅に上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、引き続き主力ハイテク株が安く電気自動車のテスラ(TSLA)が7%近く下げ、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も3%以上下げました。また、半導体株も下げが目立ちアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が5%余り下げ、エヌビディア(NVDA)も4%を超える下落となりました。マイクロン・テクノロジー(MU)も3%を上回る下げとなっています。
5.為替・金利等
22日の長期金利は0.01%高い1.94%となりました。昨日の長期金利は0.05%高い1.99%となりました。ドル円は115円近辺で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場が大幅続落となったことから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか本日もウクライナ情勢に神経質な展開が続くことになりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)