みなさん、こんにちは。相場はかなり波乱の展開となってきました。日経平均は一時、27,000円台を割り込み、2020年12月以来の安値を記録しました。
世界的なインフレの進行とそれに伴う米国金利の上昇、欧州・ロシアにおける地政学リスクの高まりなど、これまで懸念されてきたことが一気に現実のものとなってきたことに加え、日本ではさらに金融所得増税観測やコロナ禍に伴う再度の景気減速懸念が発生し、株価の重石となっている状況です。
資本市場を取り巻く環境はかなりその景色が変わってきたと言えるでしょう。当面の株式市場は短期的なニュースや思惑に一喜一憂するボラティリティの高い相場展開になるのでは、と私は想定しています。
値動きの激しい相場に向き合うには
そこで、今回はいつものテーマから少し趣向を変え、「高ボラティリティ相場における投資戦略」についてここで論じてみましょう。相場のテーマではありませんが、相場に向き合うアプローチとしては十分「テーマ性」は高いと考えました。
ただし、投資戦略ですので、いつの場合も「勝てる」定石というものはありません。私がよく引き合いに出す相場格言も、同じことを題材にしつつも正反対の教訓を示すという例が少なくないのが現実です。
本コラムに関しては私の体験談や個人のアプローチなどを中心にまとめてみたいと思いますが、あくまで1つの考え方として受け止めていただければ幸いです。頭を整理する上で少しでも参考になれば、と考えます。
まずは機動的なキャッシュポジションを作る
私がボラティリティの高い相場展開の際に最初にすることは、キャッシュを確保しておくこと、になります。これは投資に向けての追い銭を確保するという意味ではなく、自身の投資ポートフォリオの中で一部株式を売却し、キャッシュポジションを作るという意味です。
ボラティリティが高いということは、うまく安値で拾うことができれば、(ファンダメンタルズに関わらず)リバウンドする機会が短期的に増しているということでもあります。この短期の勝負に向けての種銭を作っておこうというのがこの狙いとなります。
もちろん、資金に余裕があれば追い銭をどこかから追加投入しても良いですが、資産の中で投資のウェイトが膨らむことへのリスクも否めません。私はまず、ある程度損切も許容したうえで、機動的に動ける資金(キャッシュ)を一旦確保しておくことで準備を整えています。株式市場が大きく動いた際に躊躇なく安値を拾いに動けるように、です。
大きな下落時こそチャンス。キャッシュを分散しながら買い場を狙う
例えば、先日に日経平均が1日で900円も下落した時がありました。こういう時は、この後もどんどん下がってしまうのではないかと不安にはなりますが、私はむしろリバウンドが入りやすいと逆に強気に考えます。
総悲観の時こそが買い場であるというのは、歴史が証明しています。そこまで大袈裟に捉える必要はありませんが、大きく下がれば、その逆の動きもまた起こりやすい、と考えるのです。
しかし、意に反して続落する、ということもあるかもしれません。その場合に用意した種銭を全て投じてしまっていては、そこで機動力を失ってしまいます。そこで、私は種銭の何分の1を投入するに留め、続落した場合に追加で難平できる機動力は残しておくようにしています。これが第2にやることとなります。
ただし、難平も慌ててやってしまうとあっという間に種銭が尽きてしまいます。難平するタイミングもまた、基本は大きく動いた時、と私は決めています。
深追いせず、利益は早めに確定する
第3にやることは、早目の利益確定です。ボラティリティが高まっているということは、トレンド的に本格的な下落相場の始まりである可能性もまた否めません。
大きく下がったところでリバウンドを狙う以上、深追いは禁物です。下手に売り時を惜しむと、得るものも得ることができなくなってしまいます。リバウンド局面ではしっかりと利食いし、次の下落局面に備えて再び機動的に動かせるキャッシュを確保することが肝要でしょう。まさに、「利食い千人力」です。
高ボラティリティ相場では短期のリバウンド狙いも一手
下落ピッチの激しい相場においては、「落ちてくるナイフは掴むな(Don’t Catch a Falling Knife)」というウォール街の相場格言がよく言われます。私もこの格言は実に示唆に富むものと受け止めています。「休むも相場」です。
しかし、高いボラティリティが存在する相場では、リバウンド局面で投資利益を得る機会が発生するのもまた事実です。これもウォール街の相場格言ですが、「高いところから落とせば、死んだネコでも跳ねる(Dead Cat Bounce)」ということです。
ボラティリティの大きな相場では大きくトレンドが変わることも多々あり、なかなか投資に踏み切れなくなってしまうものです。そういう時はあまり難しく考えずに、むしろ短期のリバウンド狙いに徹するのは一手でしょう。
いつも私が主張している「しっかりと考えていきましょう」というアプローチとは真逆になりますが、ロジカルなファンダメンタルズが相場に反映されない局面があるというのもまた相場です。現実を見据え、時にはトリッキーなスタイルと割り切ってみることも面白いのではないでしょうか。「相場のことは相場に聞く」のがどんな時も鉄則なのですから。