混乱する米国株式市場

先週の米国株式市場では、S&P500は0.3%の下げ、ナスダック総合は0.28%の下げで終わりました。ハイテク大型銘柄の多いナスダック100は若干ですが、プラス0.12%で終わりました。

1週間の株価指数の変化率だけを見ますと、一見大した動きがなさそうに思えます。しかし、実際には米国株式市場は日替わりで非常に不安定な動きをしています。

金利が上がるとマーケットは下がると思われがちですが、日々のマーケットの動きを見ていると必ずしもそうではありません。金利が上がっても、マーケットはそれを気にせず上がる日もあれば、金利が上がることを思い出したかのように株価が下がる日もあります。

12月の米CPI(消費者物価指数)は前年比7%と1982年来の高いインフレ率を示しましたが、マーケットの整理では、この指標は予想通りだったということで、金利は下がり、株価は上昇しました。

バリュー銘柄が思いっきり買われる日もあれば、グロース銘柄が交代で買われる日もあります。朝方大きく売られていたにも関わらず、引けまでにその下げを取り戻すこともあれば、また、その逆も然りです。

このような動きを一言で表すと、マーケットがconfuse、つまり、混乱しているのです。

このように混乱状況となっている米国株式市場ですが、こうした状況になることは、ある程度予想がついていました。以下は2021年の夏あたりから私のセミナー等でお見せしているデータで、前回の2015年の利上げ前後の株価の動きを示したものです。前回の利上げは2015年12月16日に行われましたが、ご覧のようにS&P500は利上げの前後に乱高下しています。

【図表】
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

ただ、ここで皆さんにお伝えしたいのは、一度利上げが始まってしまうと、その後調整はあるものの、トレンドとして株価は上昇しているということです。

マーケットの焦点は決算発表にシフト

このような環境下で、マーケットの焦点は決算発表にシフトし始めています。米国では第4四半期の決算発表が始まりました。アナリストによる事前予想では、今季の売上は前年比で12%増え、収益は19%増益するという見通しとなっています。

1月14日(金)の引けまででS&P500社のうち26社が決算発表を終えており、これまでのところ前年同期比で売上は12.8%増え、発表済み企業の92%が売上を増やしています。また、収益の方では前年比で17.4%の増益で、76%の企業が増益となっています。前回の第3四半期では88%の企業が売上を増やし、81%の企業が増益発表を行なっています。

決算発表はこれから本格化します。これから数週間はインフレ、利上げを示唆するニュースのヘッドラインと、決算発表との綱引きとなるでしょう。

今週のおもな決算発表予定は以下の通りです。

1月18日(火)
ゴールドマンサックス(GS)

1月19日(水)
バンク・オブ・アメリカ(BAC)
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
ユナイテッドヘルス(UNH)
アルコア(AA)
ユナイテッド航空(UAL)

1月20日(木)
アメリカン航空グループ(AAL)
ユニオン・パシフィック(UNP)
CSX (CSX)
ネットフリックス(NFLX)