1月ということで心機一転、家計管理を頑張りたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。その家計への取り組みには、節約、やりくりもありますが、「節税」も意識したいもの。1年の終わりに意識するよりも、年初から計画的に取り組む方が良いものもあるため、今年は何に取り組むかを、1月中に考えても良いかもしれません。

ご自身で実践できる節税術を確認しよう

まず考えたいのは、ご自身でどのような節税ができるかということ。家族構成や健康状態などにより、取り組み可能な節税が異なります。よく知られた節税としては以下のものがあります。

・医療費控除
・ふるさと納税
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・生命保険料控除・地震保険料控除
・住宅ローン控除

この中でも積極的に検討すると良いものとしては、医療費控除、ふるさと納税、iDeCoです。

医療費控除とは

医療費控除は、1年間に支払った医療費が高額の場合、所得控除を受けることができる制度です。自身や生計を共にする配偶者、また親族に支払った10万円超え(所得の合計額が200万円までの方は所得の合計額の5%)の医療費が対象となります。

とはいえ、医療費控除はこの先1年どのような病気になるかもわからないため、利用できるかどうかもわからないという人が多いかと思います。まずは通院時の明細等を廃棄せずに残しておくことから始めましょう。

医療費が10万円を超えない場合には、医療費控除の特例として知られる「セルフメディケーション税制」を利用できます。

「セルフメディケーション税制」は、特定の医薬品購入額の一部を所得から控除できる制度になります。具体的には、スイッチOTC医薬品(※1)という対象薬品の購入額から1万2,000円を引いた金額が所得から控除されます。控除される購入額の上限は年間10万円までとなります。

つまり、最大8万8,000円の所得控除を受けられる可能性があることになります。人によっては風邪薬、花粉症薬が必要となる時期もあるため、計画的に購入して合計額を積み上げると良いでしょう。なお、医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用となり、同時に2つ利用することはできません。


(※1)スイッチOTC医薬品 対象品目リスト(2021年12月28日時点)
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000875016.pdf

ふるさと納税

ふるさと納税は自分が応援したいと思う自治体を選んで寄附をする制度で、寄附金が2,000円を超えると所得税の還付や住民税の控除を受けることができます。こちらは節税目的というよりは、返礼品でお得を享受することが目的です。

ふるさと納税の魅力は、何と言っても地方の特産品など返礼品を受け取れることでしょう。寄附後、返礼品を受け取るまでの期間は自治体や商品により異なります。そのため、一度に申し込むと同時期に返礼品がまとめて届いてしまって冷蔵庫に入り切らない、期限内に食べきれないなどとなってしまいがちです。

この点は計画的に申し込めば食費の節約ができることもありますから、年間での受け取り時期や受け取る商品の計画を立てると良いでしょう。米、肉、魚、野菜などを毎月もしくは隔月、または時期を指定して受け取ると、計画的に受け取ることができます。

また、日々の食材を受け取るのではなく、イベントの食材を受け取る計画にしても良いでしょう。誕生日のケーキ、クリスマスのターキー、年末の蕎麦、お正月のおせちなど様々な季節の行事に向けた食材を受け取るのも楽しいものです。

ただし寄附の上限額には制限がありますから、その範囲で楽しむにはどうすると良いか、家族構成や暮らし方に合わせ、検討してみると良いでしょう。

関連コラム:ふるさと納税、2021年分から確定申告の手続き簡素化!どう変わる?

iDeCo(個人型確定拠出年金)

将来の自分年金づくりの制度として、年々認知度、活用度が高まるiDeCo。加入条件がありますが、iDeCoは掛け金全額が所得控除されるため、まだ始めていないなら節税対策という意味でも早めに始めたいところです。

働き方によって加入する公的年金の種類が異なり、iDeCoの加入条件も異なるため、ご自身がどれに当てはまるのか、確認した上でぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

関連コラム:2022年以降拡がる企業型確定拠出年金+iDeCo(イデコ)の活用ポイント

生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険料や地震保険料を支払っている場合は、所得から一定の金額を控除することができます。ただ、この生命保険料、地震保険料の控除を受けるために、あえて保険に加入する人もいますが、不要な保障(損害保険は補償)まで用意する必要はありません。過剰な保険加入には注意しましょう。

住宅ローン控除

住宅ローン控除は2021年末で終了予定でしたが、4年延長が決まり、2025年まで利用できることになりました。この2〜3年のうちにマイホームを購入しようと考えている人には、これも節税対策の1つになります。

ただ、今回の延長では内容が一部変更となっています。今まで、住宅ローンの低金利の影響で、住宅ローン減税の控除額がローンの支払い利息額を上回る「逆ザヤ」が生じるケースも多くありました。それを是正するために、控除率は1%から0.7%に縮小となります。

また、新築を対象とした減税期間は10年から13年に延長されます。また新築の場合、減税対象となる借入残高の上限は省エネ基準を満たさない一般住宅については、上限が3,000万円に引き下げられます。2024年、2025年はさらに引き下げられる予定です。

他、減税を受けられる所得の上限は、3,000万円から2,000万円に引き下げられます。1年間の控除額を考えると、2021年までの控除額より少なくなりますが、延長されることは喜ばしいことです。

節税は無理してするものではありませんが、できるものがあればしっかり活用し、家計のお金をより多く残していただきたいもの。ご自身では何が利用できるのか、検討してみてください。