間もなく11月。ふるさと納税はラストスパートの時期に入ります。年末年始に向け、各地域の特産品をお得に受け取るために、ふるさと納税のサイトを一生懸命見ている方もいるのではないでしょうか。さて、このふるさと納税、2021年分から確定申告の手続きが簡素化します。より便利に、活用しやすい制度になるのです。

税金の還付控除や控除が受けられるふるさと納税の仕組みとは

まず、ふるさと納税についておさらいをしておきましょう。ふるさと納税とは、自分が居住する自治体以外の自治体に寄付をすることで、その自治体の特産品をいただける制度です。

その寄付額から2,000円を引いた金額が、所得税率を乗じた上でその年に納めた所得税から還付されたり、翌年の住民税から控除されたりする仕組みとなっています。

支払うべき税金を自分が応援したい自治体に寄付という形で先払いする仕組みなので、住民税については支払額としての負担は変わらないのですが、2,000円を自己負担することにより自治体の特産品がもらえる分がお得となります。

2,000円の自己負担で済む寄付額には、収入により上限があります。ふるさと納税の各事業者サイトなどで確認してみましょう。

ふるさと納税のやり方

税金の控除手続きとしては、確定申告が必要です。サラリーマンに限っては、ワンストップ特例といって、5自治体以内の寄付であれば、寄付金の受領証と共に送られる「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を自治体に返送することで、確定申告をする必要はなく、住民税の控除を受けることができます。

5自治体を超えて寄付をする、または毎年確定申告が必要な方はこのワンストップ特例を使うことはできず、確定申告をする必要があります。

「寄付金控除に関する証明書」によって確定申告が簡素化へ

ふるさと納税を確定申告する方は、自治体から送付される「寄付金受領証明書」が必要です。この受領書は寄付をするごとに1枚発行されるため、これまで確定申告の手続きをする際には受領書が何枚にもなり、管理が大変でした。

しかし、2021年(令和3年)分の確定申告から、自治体が発行していた「寄付金受領証明書」の代わりに、ふるさと納税サイトの事業者が発行する「寄付金控除に関する証明書」が1枚あれば、手続きができるようになります。

1年の途中で「寄付金受領証明書」を紛失したという事例も起こりがちでしたが、その心配もなくなります。では、「寄付金控除に関する証明書」はどのように入手し、どのように使えば良いのでしょうか。

ふるさと納税サイトを運営する各事業者が用意しているマイページ画面等から「寄付金控除に関する証明書」(XMLファイル)をダウンロードすることとなります。税務署で確定申告する方はXMLファイルを国税庁が提供する「QRコード付証明書等作成システム」でPDFに変換後、印刷して持参、または郵送します。

eTaxを利用する方はダウンロードしたものをeTax上に添付します。税理士にお任せしている方は、メール添付または印刷して税理士に渡せば良いでしょう。

ふるさと納税の申告手続きが簡素化されるのは「特定事業者」のみ

この確定申告用の「寄付金控除に関する証明書」は、特定事業者のみが発行できます。特定事業者は2021年9月15日時点で、以下の13事業者です。

【図表】国税庁長官が指定した特定事業者(2021年9月15日現在)
出所:国税庁のHPより筆者作成
※指定順に掲載

ふるさと納税のポータルサイトを運営する事業者の多くが対象となっています。ますます便利になるふるさと納税。もしまだ経験したことがないという方は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。