「一年の計は元旦にあり」と言いますが、年末年始に今年を振り返り、来年に備えておきたいものです。これは投資についても例外ではありません。2021年は米ドル/円の為替だけを見ても、年頭の103円台から115円台(2021年11月末時点の最高値)と相応に円安が進んだ年と言えます。

そんな中、外国通貨で資産を保有し、為替差益の恩恵を享受している方を尻目に、「参入のタイミングを逃してしまった・・・」と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。このように円安・円高どちらに進んだとしても、為替が一定以上に変動すると、投資家心理は揺さぶられやすいものです。為替変動に一喜一憂しないためには、為替変動リスクに関するデータ上の事実を把握することが大切です。

変動幅が自身のリスク許容度の範疇にあるか

下方偏差とは

下方偏差は、投資の分析手法としてはテクニカル分析に分類されるものです。初めて外国通貨建ての投資を行う方は特に、為替変動リスクを調べたが故に情報過多に陥ってしまい、判断軸がブレやすい傾向があります。そうした状況に備えるためのツールの1つと言えるのが下方偏差です。

下方偏差とは、マイナス・リターンの平均値からのバラツキのことです。平たく表現すると、どれくらい損をしそうかということです。まずは、各通貨の対円の下方偏差を見てみましょう。

【図表】各通貨の対円の下方偏差
出所:2021年10月末時点の情報を元にクラウドクレジット算出

左上が米ドル、中央上段がユーロ、右上がジョージアラリ、左下がブラジルレアル、中央下段がタンザニアシリング、右下がウガンダシリングの対円の下方偏差です。米ドル、ユーロは先進国通貨、その他は新興国通貨に類するものになります。

10年という長い期間でそれぞれの通貨を見比べると、米ドルやユーロなどの先進国通貨はその他の新興国通貨に比べてリスクが低いことが見て取れるでしょう。

しかしながら、それでも為替変動は相応にあります。最高値(最も円安であった対円為替レート)から最安値(最も円高であった対円為替レート)へ変動した場合の変動幅が、ご自身のリスク許容度の範疇にあるかを把握することが肝要です。

ありのままの事実を把握する

1年、2年という短期間を切り取ってみると、重大な局面ではない限りあまり変化がありません。為替リスクを抑えたい時には、期間を短くしてみるという手も考えられます。ただし、先進国通貨、新興国通貨を問わず、重大な局面では相応に数字が大きく変化するというリスク認識は必要不可欠です。

また、一般的に「新興国通貨はリスクが高い」と言われており、事実、このグラフを見ても新興国通貨は先進国通貨よりリスクが高くなっています。しかし、「どの程度リスクが高いのか」を「下方偏差」で見ると、短期間では耳慣れない通貨であっても、先進国通貨と同じくらいか数%程度の違いであることがわかります。このように、「どの程度損をする可能性がありそうか」を「下方偏差」で把握することによって、少なくとも為替変動に対する必要以上の恐れをなくすことはできるでしょう。

何事も冷静さを欠くと、良い結果を望むことが難しくなってしまいます。今回はありのままの事実を把握するためのツールの一例をご紹介しました。

冒頭でもお伝えした通り、年末年始に今年を振り返り、来年に備えておくことで、現状で満足のいく投資ができている方もそうでない方も、気持ちを新たに来年に向かっていただければ幸いです。少しばかり早いですが、良い年をお迎えください。