先週は、FOMC(米連邦公開市場委員会)やECB(欧州中央銀行)の定例理事会など、主要国における政策金利の発表イベントを通過し、金融市場はクリスマスラリーを意識して上昇に転じると考えていましたが、その雰囲気は徐々に薄れてきているようです。その理由としては、リスクオフ材料が多方面で見受けられるからです。
12月17日、大手格付け会社S&Pグローバルは中国の不動産開発会社最大手、中国恒大集団をデフォルトと判定しました。今後、同社への資金流入の目処もなくなると思います。
また欧州では、オミクロン株の流行が一段と広がっており、オランダでは都市封鎖、英国の首都ロンドンでは「重大事態」宣言が発令されるなど、緊張感が高まっている状況です。
オミクロン株の致死率や重症者数は従来の変異株と比較して低い傾向を示す報告が出ています。しかし、水際対策を強化せざるを得ない状況なので、経済への影響も徐々に出てくるでしょう。サプライチェーン問題が再燃し、物資高騰につながることも考えられます。現状ではこれ以上、金融緩和に踏み切ることは難しいと思います。
そのため、楽観視されていたマーケットは年明けから軟調に推移する可能性が高いと考えています。私はBTC(ビットコイン)はインフレ資産の1つだと考えていますが、それでも少なからず影響を受けると思います。
先々週から保守的なトレードをご紹介していましたが、今週も下落を意識したスタンスを堅持しています。以下、チャートも交えて分析していきましょう。
BTC/JPY、MACDゴールデンクロスは「ダマシ」になるか
BTC/JPY日足チャートから分析していきます。
下降トレンドラインにすらタッチできない展開が続いており、反発力がないことがよくわかります。値ごろ感があるポイントまで下落してきましたが、マーケットへの資金流入が少ないようで、売り圧に押されている展開です。MACDはゴールデンクロスを発生させて間もなく1週間になりますが、時間が経過しすぎています。よって、この動きは「ダマシ」になりそうです。
前述の通り、リスクオフ材料が多い状況ですので、キャッシュポジションを確保する投資家が増えているのではないかと思います。
もう一段安に警戒し、今週は水色のサポートライン(430万円付近)からの買いを検討したいところです。また、年明けまでトレンドラインをバックに戻り売り、または現物ポジションの縮小ゾーンを考えています(500-550万円程度)。
株式市場の下落に伴う連れ安を意識した展開を予想します。
ETH(イーサリアム)は需要があるものの、連れ安の展開か
ETH/JPY分析に移ります。
日足ベースではトレンドラインを維持しており、BTCと比べると健闘していると言えるでしょう。ただ、やはり12月に入ってからは三角保合の上値抵抗線に戻る機会がなく、同様に上値が重い展開となっています。現時点(12月20日午前)はサポートライン手前で踏ん張りを見せている最中でしょうか。
ただ、こちらもマーケットが崩れると、ETHも連れ安になるでしょう。ETHが比較的、堅調な理由としては、NFT市場の盛り上がりが未だ健在だからです。ETHの需要の高まりや、ガス代の高止まりなどから、イーサリアムネットワーク上のバーン(焼却)も続いています(※ETHのガス代の高止まり現象は一定の利用者がいることにより成立します。よって、買い需要があると考えられます)。
このようにETHの一定の需要が価格の下支えになっているのでしょう。ETHに関しては強気姿勢を堅持したいと思います。ただし、金融市場などの大きな波には逆らえないので、イメージ的には2021年夏頃の水準あたりまで下落する可能性があると考えています。
ショート戦略にはしませんが、買いに向かいたい水準は29-34万円付近になります。
ただし、米ドル/円レートが113-114円と、ここ数年と比べて高い水準であることに要注意です。2022年にリスクオフマーケットとなれば、米ドル/円レートも100円方向に動き出すことも考えられます。その場合は、円高の影響にて、ドル建てと比べて10%近く余計に下落するリスクも考慮しておかなければなりません。その場合は25-29万円程度も想定した資金管理で市場と向き合う必要が出てきそうです。
今週も日足ベースにて、レジスタンスラインをバックに売り目線で考えています。
2021年の株式市場はリスクオフ材料が多いため、アノマリー通りとはいかず(※毎年12月は特に米国株が上昇する傾向が見られました)、上値の重い展開を予想します。よって、暗号資産市場の見立てもこのように解釈しています。以上をご参考にしていただけますと幸いです。