老後資金作りなど、将来に向けた資産形成はできれば40代には始めたいもの。とはいえ、教育費が必要だったり、マイホームの購入があったりと、支出が多くなりがちなのも40代。なかなか投資を始めるタイミングが分からないというご相談もよく受けます。

40代で投資を始めるには、家計状況が整っていること、生活を守れる貯金があることなど、前もってクリアにしたほうが良いこともありますが、いざ投資を始めるにあたり、どのようなことを意識していくと良いのでしょうか。そのポイントを3つにまとめました。

1:少額から投資を始める

投資する金額は、家計からどの程度出せるのかということもありますが、自分がいくらまで耐えられるかというリスク許容度も影響します。ゆとりがある場合でも、投資に挑戦したい、トライしてみたいと思うのであれば、まずは家計から出しやすい数千円程度の少額で始めてみましょう。

少額で始め、慣れてきたら徐々に投資額を増やしていけば良いのです。貯金が少ない人は、合わせて貯金もしていきましょう。貯金や投資をするお金を捻出するには、家計の見直しも大切です。日々の支出を記録して毎月何にいくら使っているのかを把握し、ムダだと思えた支出を削減していきます。

必要なものや大事な支出を減らす必要はありません。支出にメリハリをつけ、安定して投資に回せる余剰金を作るよう、コントロールしていくのです。

投資に慣れ、家計を見直すことで投資に回すお金を安定して出せるようになったら、投資額を増やしていっても良いでしょう。多くの方はこのようにして、資産を増やす取り組みを続けています。

2:長期、分散、積立でコツコツ投資をする

よく言われていることですが、初心者がやるべき投資スタイルは、コストを意識して長期、分散、積立をしていく投資です。リスクが低い投資信託への投資が合っているのですが、これはリスクが低い分、利益も始めの頃は少ないため、投資信託選びには信託報酬などの手数料が安いことも意識したいところです。

初めての場合、つみたてNISAやiDeCoなど、税優遇のある投資制度を使うことも非常に良いでしょう。両方とも運用益が非課税です。

つみたてNISAは、教育費や住宅購入など、10年以上かけて準備したいお金を作ることにも向いていますし、投資は怖い、いやだと思った時には、すぐにやめることもできます。

商品はノーロードで販売手数料がかかりませんし、信託報酬は一定水準以下とされており、国内株のインデックス投信の場合は0.5%以下となっています。今では0.1%付近の商品もあります。

また、老後資金をしっかり作りたいという場合は、iDeCoが良いでしょう。加入している企業年金などによって掛け金の上限額が決まりますが、掛け金が所得控除され、節税につながることも魅力です。60歳までは引き出せませんが、2022年の春から、状況によっては65歳まで拠出することが可能になり、受け取り開始年齢が75歳まで上がる点も魅力です。

ライフスタイルや家族構成などにより、どちらが向いているかと考えてしまいがちですが、家計を見直した上で、原資が十分にあるのであれば、両方に取り組むことが40代にはお勧めです。

3:家族のライフイベントも考慮しながら、さらに家計を意識する

投資をしていると「もっと多い金額を投資に充てられないか」と考えることも多いはず。はじめて2~3年のうちはあまり成果を感じず、面白みも少ないと感じる投資手法ですが、5年10年と経過するうちに、複利の力で資産が大きく膨らんでいくのを見ると、さらにお金を投じたくなることも多いでしょう。

投資をしている時は、お金に対して興味や意識が向きやすく、家計も絞りやすいという良い循環に乗りやすいもの。必要なところには十分にお金を出し、そうではないところを絞ることにより、さらに投資額を増やし、合わせて貯金も増やしていくことができるかもしれません。

1つ注意したいのは、投資が楽しくなり、貯金をすべて投資に回してしまうようなやり方です。3年以内に必要となるお子さんの教育費などは現金で持っておかないと、必要な時に「引き出したくない」状態になっては困ります。

家族の大切なライフイベントを乗り越えながら、投資をする。そういうやり方ができれば良いのではないでしょうか。少額からコツコツ始め、次第に投資額を膨らませていく投資をしながら、貯金も増やすことを意識するのが、40代から始める投資のコツだと言えるでしょう。