投資家心理を投影するVIX指数

投資家の不安心理を示すVIX指数(以下、VIX)は、12月3日に一時35.3まで上昇する場面がありました。この指数は恐怖指数ともいわれ、通常は10~20の範囲内で推移します。株価急落時に突然、大きく上昇する性質上、移動平均線で平準化すると、トレンドがわかりやすくなります。

私がVIXの移動平均線を見る際、図表のように短期の13週移動平均線と長期の52週移動平均線をよく使います。13週移動平均線が52週移動平均線を下から上回ると上昇転換のサイン、13週移動平均線が52週移動平均線を上から下回ると下落転換のサインとなります。

【図表】VIX指数とS&P500(2017/7/3~2021/12/10)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチが作成

13週移動平均線と52週移動平均線の位置関係は入れ替わるか?

また図表で足元をご覧いただくと、今回のVIXの上昇によって、2週続けて13週移動平均線が52週移動平均線を下から上回る状況になっています。その継続性を現時点では判断しづらいですが、13週移動平均線が52週移動平均線を下回った状況が1年以上も続いただけに、そろそろ両者の位置関係が入れ替わっても不思議ではありません。

13週移動平均線のトレンドが上向きかつ、52週移動平均線を上回る状況が続く場合、近いうちにVIXが再び上昇する場面が予想されます。

2018年や新型コロナショックを契機に急上昇する前(丸印の箇所)は、ボラティリティが小さい(VIXの変動が小さい)状況が続いていたことがわかります。今回も同様です。

そして、いったん急上昇した後に急低下することが多く、再び余震で上昇することも少なくありません。S&P500は史上最高値を更新しましたが、ナスダックの上昇が続かない、あるいはナスダックだけが下げるような日が増える場合、相場全体の下落の前兆ともなりえます。

米国株の1月後半の一時的な調整が直近2年間続いている点には留意が必要です。