今週は、FOMC(米連邦公開市場委員会)、ECB(欧州中央銀行)の定例理事会、英中央銀行MPC会合、そして日銀の金融政策決定会合などで主要地域の政策金利が発表される予定です。日本を除く各地域ではテーパリングや利上げなど、金融引き締め政策の内容について議論が進むでしょう。

先進主要国のCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)は、数十年ぶりの高い水準に達しており、労働者賃金の上昇率をはるかに上回る物価上昇で国民の生活が圧迫されています。

また、オミクロン株の影響で各国の貿易窓口はさらに閉鎖され、物流停滞の懸念も解消されていません。よって、PPIはもう一段と高まりを見せ、金融引締めの前倒しの可能性が出てくるのではないかと考えています。

今後も資金をインフレ資産に振り向ける時期が続きそうです。私は暗号資産もインフレ資産の1つだと考えています。

今週の中央銀行の会合ラッシュを通過後、一時的に通貨高になるものの、少し経過すれば、また株価や暗号資産が上値を追いかける展開になるのではないかと予想しています。というのも、1度の利上げを実施したぐらいでは、物価上昇を簡単に抑えられず、インフレ資産への流れが進むと考えているからです。

ここ数ヶ月、スタグフレーションの懸念が強まっているため、暗号資産などの価値が徐々に上がっていくと私は思います。

BTC(ビットコイン)、下値トライは限定的か

【図表1】BTC/JPY日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO( iPhoneアプリ)

先週は暗号資産市場に対して少し警戒心を強めましたが、実際のところはレンジ相場に終始しました。このような動きに一服感もあることから、改めてリスクオン目線に切り替えていきたいと思います。

今週は中央銀行の金融政策会合が集中していますので、そのイベント通過待ちでしょう。動き出すとしたら12月16日(木)-17日(金)以降だと思います。

よって今週前半の値動きは横ばいで、どこまで下値が緩むかわかりませんが、下がったところは買い場であると考えています。下限レンジを少し広めにとって拾っていくと良いかもしれません。

逆に上値の目処は下降トレンドラインを想定します。おおよそ575-585万円付近の上値をイメージし、この価格帯では一部利食いを検討したいところです。また逆に550万円付近まで下がる場合は、買い戻しを繰り返すイメージです。

【図表2】BTC/JPY4時間足
出所:MONEX TRADER CRYPTO( iPhoneアプリ)

4時間足に時間軸を落とします。

上限・下限ラインを引きました。およそ535万円-590万円レンジ相場です。前述した通り、575-585万円で売り抜け、550万円より下は拾っていくスタンスです。今週前半は徐々に方向感がさらに乏しくなり、上限・下限ラインにすらタッチが難しくなっていくと思います。よって、そこまで引きつけてエントリーするのではなく、少し手前からの細かいエントリーをこまめに繰り返していく方が良さそうです。

オミクロン株の懸念や中国恒大集団をはじめとした中国系不動産会社のデフォルトリスクが増大しない限りは、徐々に下値を切り上げていき、上昇相場に回帰することを予想しています。

オミクロン株の重症化割合が低い可能性も出てきていますし、中国不動産会社のデフォルトリスクについても政府が介入する動きが見られます。よってこれらの問題は終息に向かうのではないかと私は考え始めました。

したがって、今回はリスクオン目線での分析をお伝えしました。

ETH(イーサリアム)、並行チャネルと三角保合いの中で推移

【図表3】ETH/JPY日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO( iPhoneアプリ)

ETH/JPY日足分析に移ります。

急落の下髭を無視して並行チャネルを引きますと、綺麗に収まることがわかりました。ETHは引き続きこの並行チャネル内での値動きを予想します。よって、買いを入れるならば、下限ラインが引ける42-43万円ゾーンが今週の目安でしょうか。

上値は51-53万円を意識した展開となりそうです。上限ラインまで上昇を演じるならば一度、利益確定が良さそうです。MACDは0.00ラインに位置しており、方向感を失っている具合を見ていると、もうしばらくはレンジ相場を意識せざるを得ません。

また現状、小さな三角保合いを形成できるようになっており、イベント通過まではさらにこの三角保合いの中で推移が始まる可能性があります。

SMA30もすぐ上に位置していますので、こちらもレジスタンス指標として参考にできるでしょう。その場合、48万円あたりがもう1つの目安となりそうです。持っているポジションに対し、安全を見て閉じるならば、この付近から利食いを入れて、再び下限ラインで拾い直すと良いのではないでしょうか。

先週は警戒感を強めていましたが、今週より再びリスクオン方向でトレードを模索しています。ただし、まだ相場に方向感がしっかりと出ていないため、保守的なトレードであることもご理解いただければと思います。