11月26日(金)、南アフリカで検出された新型コロナウイルスの新しい変異株「オミクロン株」に対する懸念からマーケットが荒れました。米国の感謝祭の翌日でマーケットが非常に薄い時期に大きなリスクオフ材料が出たこともあり、全市場で急落しました。

本コラムの執筆時点(11月29日午前)、東京外国為替市場、暗号資産市場は今のところリスクオンで反応していますが、今後どうなるでしょうか。個人的には売られすぎ水準からの単なる反発程度だと考えており、このまましっかりと上昇トレンドに戻るには、もう少し時間がかかるように思います。

オミクロン株の感染力は、非常に強いと指摘されています。今のところ南アフリカのほか、英国、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、デンマーク、オーストラリア、香港、イスラエルなどで続々と見つかっており、世界的に感染が拡大していくものと思われます。致死率レベルについてはまだ明らかになっていないとのことで、今後数週間にわたって、ワクチン製造会社や医療機関から分析の一次結果出てくるようです。

いずれにしても明確なデータが出るまで、しばらく時間がかかるでしょう。個人的な経験上、このような局面では、買われたものが売られ、売られていたものが買い戻されやすい傾向があると考えています。投資家の心理は徐々に「ポジションを一度整理しよう」という意欲に傾いていくと思いますので、短期的には株式市場も暗号資産市場も上値が重くなるのではないでしょうか。

各国は渡航制限や入国禁止など対策を強化しており、再び世界全体の経済停滞が一定期間にわたって訪れそうです。よって、世界経済の減速は避けられないでしょう。

また、コロナ感染拡大が深刻化すると2022年2月に予定されている北京五輪への選手や国の高官メンバーの派遣を見送る国も出てきそうです。そうすると世界各国と中国との関係にも影響が出て、それがまたリスクオフ材料の1つになるかもしれないと考えています。

BTC/JPYは短期的な下降トレンド入りか

【図表1】BTC/JPY 日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO( iPhoneアプリ)

BTC/JPY日足分析から始めます。

日足レベルでしっかりと下値を切り下げ始めました。本日(11月29日)、東京時間では大幅反発となっています。下降並行チャネルの上限ラインが近いことや前回の水平サポートラインが引けるポイント付近でもありますので、このあたりで一度、ポジションの手仕舞いをイメージしています。

今後、上昇していったとしても、下降並行チャネルの上限ライン、また30日移動平均線など、レジスタンスとなるものも多く、あまり積極的に取引したい局面ではありません。

長期の現物ポジションは保有で問題ないと思いますが、短期トレードの口座に限っては、ポジション手仕舞いの合図だと考えています。

では4時間足にて、戻りの目安を見ていきましょう。

戻り売りの目安は655-675万円ゾーンか

【図表2】BTC/JPY 4時間足
出所:MONEX TRADER CRYPTO( iPhoneアプリ)

4時間足に縮小します。

下降ウェッジを形成中です。戻り売りを仕掛けやすい下降トレンドラインが上限ポイントに近い水準になってきました。2本トレンドラインが引けますが、どちらも捨て難いです。

現在の価格付近から上値が重くなってくるのではないでしょうか。675万円をバックに戻り売りが断続的に入りやすい局面ですので、一旦押されるかもしれません。短期的な戻り売り戦略は選択肢として考えられるでしょう。

買い戻しは600万円手前を前提に、さらなるオミクロン株に関するネガティブ報道をきっかけとしてショート戦略をとる方は、日足のピンクのサポートラインが目安となります。ここは、9月7日に際立った高値をつけた581万円付近になります。ここは買いが入りやすいと思います。

買い戻しはこの手前でしょうか。このあたりは新規の買い注文も入りやすいので、買い方も売り方も意識する水準だと思われます。

今週は581万円-675万円で広めのレンジを意識していくと良さそうです。

ETH(イーサリアム)はポジション縮小も押し目買いの準備を

【図表3】ETH/JPY 日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO( iPhoneアプリ)

続いてETH/JPY分析です。

BTC(ビットコイン)よりも下値の割り込み具合が緩やかです。DeFiやNFT市場でETHチェーンのニーズがあるため、断続的に買われていることが要因かもしれません。

ETHに関しては、下降ウェッジの上限ライン付近にて、ポジション縮小が見られるものの、浅い押し目買い戦略を意識したいところです。

まずは水色のサポートライン44万5000-45万円付近からのエントリーをイメージします。さらに一段安からの買いを狙う場合は40万円に引ける黄色のサポートライン手前で拾っておきたいところです。ここまで押すと良い買い場となるかもしれません。

今週はオミクロン株の市場への影響を見極める展開となりそうです。個人的にも警戒感を強めています。

10月からしばらくずっと強気目線でいましたが、今回は少し態度を軟化させて、ポジションを縮小、そして少し深い押し目待ちを意識したマーケット戦略をお伝えしました。個人的な戦略イメージですが、ご参考にしていただけると幸いです。