資産運用において最も重要なのは、資産全体をどのように配分するかというアセットアロケーションです。最適なアセットアロケーションというのは、人それぞれ異なります。

資産運用で最も大切なアセットアロケーションを決定する要因

アセットアロケーションを決定する際にポイントとなるのは、運用目的とリスク許容度です。

資産運用の目的は人それぞれです。資産を増やしたい人もいれば、今保有している資産を減らさず守りたい人もいます。

また、資産承継のような次世代への移行をスムーズに行いたいといったニーズも出てきます。それぞれの目的によって資産の配分比率が変わります。

また、もう1つの決定要因であるリスク許容度は、個人の属性によって変わってきます。年齢、家族構成、ライフスタイル、リスクに対する考え方などが決定要因となります。

それらと並び、資産規模と年収がリスク許容度に大きな影響を与えます。

資産規模と年収によって基本の投資スタイルが変わってくる

資産規模が大きくなれば、より大きなリスクを取ることができるようになります。また、価格の高い不動産のような資産でも、1,000万円程度の資産を持っていれば、購入できるようになります。

また、お金を借りて不動産投資ができる目安は、年収が500万円程度で安定した仕事を持っている人になります。

この収入条件を満たす人は、金融資産で運用することもできますし、自己資金が少なくてもお金を借りて不動産投資を始めることができます。

このことから、資産運用のやり方を決める分かれ目は、「資産1,000万円」と「年収500万円」が目安になることがわかります。

そこで、この「資産1,000万円」と「年収500万円」という2つの基準でマトリックスを考え、4つのタイプに分けてアセットアロケーションの基本戦略を作ってみました。

タイプ1:年収500万円未満 資産1,000万円未満

収入の制約により借入が難しいため、自分が持っている資産だけで資産運用をすることになります。

金融資産は投資信託を中心に分散投資し、毎月の積み立てを使って定期的に元本を追加していくのが良いでしょう。その際には、税制優遇のあるNISAやiDeCoを積極的に活用していきましょう。

ネット証券で日本、先進国、新興国の株式にそれぞれ投資する低コストのインデックスファンドを組み合わせるのが基本です。株式への資産比率をどの程度にするかは、リスク許容度から調整していきます。

タイプ2:年収500万円未満 資産1,000万円以上

こちらも借り入れは難しいため、タイプ1と同じように金融資産を中心に資産運用を行うのが基本です。

ただし、まとまった資産を使って不動産を現金購入し、金融資産と組み合わせることも可能です。

その場合、国内不動産と外貨建ての投資信託を組み合わせ、資産全体に占める外貨比率は50%を目標に設定することが大切です。

タイプ3:年収500万円以上 資産1,000万円未満

金融資産が少なくても年収が高ければ、「お金を借りる力」を使って不動産投資を積極的に行うことができます。

ただし不動産だけに資産を過度に集中させることなく、金融資産の組み合わせ全体のバランスを考えた投資を行っていくことが大切です。借り入れ金額が大きくなると、ポートフォリオ全体のリスクが大きくなるからです。

年収が高くてもリスク許容度の小さい人は、敢えてお金を借りないで、タイプ1と同じような運用スタイルにする選択肢もあります。

タイプ4:年収500万円以上 資産1,000万円以上

自分の資産と借り入れによる資金調達を自由に組み合わせ、理想のポートフォリオを作ることが可能です。

借り入れによって保有資産の数倍の投資を行うこともできますし、現金のみでポートフォリオを構築し、リスクを抑えることも選択可能です。

資産と年収が大きくなると資産運用の選択肢が広がっていく

4つのタイプからわかるように、資産規模や年収が大きくなれば、資産運用の選択肢は広がっていきます。しかし、資産も年収も不十分という人であっても、金融資産の積立を早く始めれば、成果に繋げることができます。

借り入れが可能だからといって、お金を借りなければならないわけではありません。同じ資産規模や収入でも、投資の目的やリスク許容度によって投資方法は変わってきます。

借り入れをどこまで行うか全体のリスクから考え、不動産と金融資産のバランスを考えていけば良いのです。

まずは自分がどのタイプに当てはまるのかを確認し、次に投資目的とリスク許容度を確認しながら、自分に合った資産運用の方法を実践していきましょう。