メルク(MRK)決算:一株利益は1.75ドルで市場予想を上回る
企業概要
メルクは、循環代謝病疾患、がん、感染症など幅広い治療分野の薬剤を製造する医薬品会社である。がん治療薬の中では、がん免疫療法が成長分野で全社売上高への貢献度が高い。また、B 型肝炎、小児疾患、および、子宮頸がん(HPV)、帯状疱疹予防薬などさまざまなワクチンも製造している。さらに、動物の健康のための医薬品の販売も手掛ける。地域別では、全社売上高の半分近くを米国市場が占めている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期5%増の131.54億ドル(市場予想は123.2億ドル)
★1株当たり利益(調整後)・・・1.75ドル(市場予想は1.55ドル)
2021年度通期ガイダンス
★売上高・・・464-479億ドル(464-474億ドル、市場予想は481.7億ドル)
★1株当たり利益(調整後)・・・5.65-5.70ドル(従来予想は5.47-5.57ドル、市場予想は5.80ドル)
7-9月期(第3四半期)の売上高は予想を下回ったが、調整済みEPSは上回った。2021年度通期ベース売上高、調整済みEPSガイダンスレンジをともに引き上げ、両方とも予想を下回った。
今後の株価見通し
決算発表日の株価は大幅高となり、新値を更新した。キャロライン・リッチフィールド最高財務責任者(CFO)は経口薬「モルヌピラビル」が12月にFDAに承認されれば、2022年末までに50億ドル超の売上高が期待できると述べた。さらに、同社は世界中での売上高が70億ドルまで拡大できる可能性があるともコメントし、これに市場は反応した。
シェブロン(CVX)決算:一株利益は2.96ドルで市場予想を上回る
企業概要
シェブロンは、世界中で探鉱、生産、精製事業を手掛ける総合エネルギー企業である。米国第2位の石油会社で、生産量は日量310万バレル(石油換算)である。これには日量730万フィートの天然ガスと日量190万バレルの石油が含まれる。生産活動は、北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、オーストラリアで行われている。石油精製施設は、米国およびアジアに位置し、原油処理能力は日量180万バレルである。2020年末時点の確認埋蔵量は111億バレル(石油換算)で、61億バレルの石油および29兆9,000億立方フィートの天然ガスが含まれる。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期比83%増の447.10億ドル(市場予想は406.99億ドル)
★1株当たり利益(調整後)・・・2.96ドル(市場予想は2.22ドル)
7-9月期(第3四半期)売上高、調整済みEPSともに予想を上回った。第3四半期決算は、利益が過去8年間で最高となった。石油・ガス価格の上昇、生産増加、自動車用燃料需要の回復などにより精製マージンが拡大した。純利益は61億1000万ドル。前年同期は2億700万ドルの赤字だった。石油販売が前年同期の約2倍、米国産ガスの販売が同3倍となった。
今後の株価見通し
同社は増配を33年間継続しており、配当貴族指数に組み込まれている。4年間のバリアだった115ドルを超え始めている(10月29日はザラ場で115.29ドルをつけた)。
スクエア(SQ)決算:一株利益は37セントで市場予想と一致
企業概要
スクエアは、2009年に設立され、マーチャント(加盟店)に決済アクワイアリング・サービスやその他関連サービスを提供している。また、個人間の決済ネットワーク「Cash App」の提供も開始した。米国のほか、カナダ、日本、オーストラリア、英国でも事業を展開しているが、米国以外の市場からの売上げは全体のおよそ5%にとどまっている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★調整済み売上高・・・前年同期比27%増の38.4億ドル(市場予想は45.1億ドル)
★1株当たり利益(特別項目を除く)・・・37セント(市場予想は37セント)
7-9月期決算(第3四半期)では、1株利益は予想範囲内だったものの、営業収益は予想を大きく下回った。ビットコインの収益が予想を大きく下回った。決算発表後の時間外で株価は下落した。
今後の株価見通し
潜在性は高いものの、同社株は以下の通り、過去約9ヶ月間はレンジ内の動きとなっている。290ドル超えから投資タイミングを図ることになろう。
アッヴィ(ABBV)決算:一株利益は3.33ドルで市場予想を上回る
企業概要
アッヴィは、免疫学や腫瘍学分野に主軸を置く医薬品企業である。現在、主力製品であるヒュミラによる利益が全体の利益の過半を占める。2013年初頭にアボット・ラボラトリーズから分社化された。最近のアラガンの買収によって、審美および女性医学分野での新薬が追加された。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期比11%増の143.42億ドル(市場予想は143.05億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・3.33ドル(市場予想は3.22ドル)
7-9月期(第3四半期)売上高、調整済みEPSともに予想を上回った。四半期配当を1株1.41ドルに増配した。続く第4四半期の売上高、調整済みEPSガイダンスレンジはともに予想を下回った。2021年度通期ベースの調整済みEPSガイダンスレンジを引き上げ、これは予想を上回った。
今後の株価見通し
治験の最終段階である第3相試験中の新薬が多い。同社の稼ぎ頭である「ヒュミラ」が2023年に米国で特許を失うため、新薬開発に尽力している。49年間連続増配の配当貴族株である。高い配当利回りもバッファーとなり、更なる深押しはないと見られている。好決算を受け、急反発した。
今回の決算では、リウマチ薬「リンボック」の売上高がアナリスト予想を上回った。今後数ヶ月でリンボックの明確性が高まれば株式には支援要因となろう。
オーバーストック・ドットコム(OSTK)決算:一株利益は0.54ドルで市場予想を上回る
企業概要
オーバーストック・ドットコムは、ウェブサイトを通じて製品やサービスを提供するオンライン小売業者である。家具・室内装飾品、ジュエリー、腕時計、アパレル・アクセサリー、BMMG (書籍、雑誌、CDなど)、エレクトロニクスなど幅広い商品を扱う。家庭用品・ガーデニング商品の売上が、全体の売上高の大半を占めている。自社の在庫を販売するダイレクト事業や、メーカー、流通業者、その他サプライヤーからの商品を自社のウェブサイトで販売するパートナー事業を展開している。事業別ではパートナー事業が、地域別では米国が収益の大半を占めている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期比6%減の6.89億ドル(市場予想は6.83億ドル)
★1株当たり利益・・・0.54ドル(市場予想は0.43ドル)
7-9月期(第3四半期)の売上高、調整済みEPSはともに予想を上回った。
今後の株価見通し
オーバーストック・ドットコムは2014年に初めてビットコイン(BTC)を決済手段として導入した大手小売企業でもあり、Eコマースと仮想通貨取り扱いの2つの顔がある。株価は三角保ち合いを抜けつつあり、更なる上値追いが見込めよう。