「金利」とは?
ゼロ金利、マイナス金利という言葉が当たり前となり、預貯金しても利息などはほとんどつかないことが日常となって久しいです。でも実は投資の世界において、金利は非常に重要な役目があります。
まず、「金利」という言葉の意味について復習しましょう。金利とは、一定期間のお金の貸し借りをした際にその金額に対して支払われる年間の利息額の割合のことです。単位はパーセントで示されます。身近なところで言うと、銀行に預け入れた預金に対して、銀行から支払われる預金利息の割合のことです。
そして、「金利」と関わる投資対象に「債券」があります。債券は国や自治体、企業が長期の資金を調達する手段の1つとして発行するものです。各々の発行体が期限を決めて広くお金を借り、お金を貸してもらった相手に利息を支払います。その利率は発行体の信用によって変わり、信用が低い場合はたとえ世の中がゼロ金利であっても数%の利息を約束することになります(逆に信用が高ければ高いほど、低い利率でもお金が借りられる仕組みです)。
債券は、長期(1年以上)の資金をやり取りする市場の総称である「長期金融市場」と呼ばれる市場で取引されています。一般的な個人投資家が金融機関で投資商品を購入するのに対して、債券市場では金融機関のトレーダー、機関投資家、中央銀行、ヘッジファンドなど主にプロが資金のやり取りをしています(ごく少数の個人投資家もいます)。
短期金融市場と長期金融市場
金利に関わる商品を取り扱う市場は短期と長期の2つに分かれて存在しており、いわゆる金融のプロの参加者によって形成されています。1年未満の資金のやりとりをする市場を短期金融市場、1年以上の資金のやりとりをする市場を長期金融市場と呼びます。
取引は証券取引所で行われる取引所取引ではなく、ほとんどが相対で取引を行う店頭取引です。公社債の場合、発行条件や金利等が全く同じ条件のものがなく個別で対応することになるため、取引相手によりその価格も異なります。
<短期金融市場>
金融機関のみが参加するインターバンク市場と一般企業も参加するオープン市場に分けられます。
インターバンク市場とはごく短期の資金のやり取り(貸し借り)の場であり、コール市場と手形市場などが該当します。代表的な取引に「無担保コール翌日物」という無担保で1日満期の取引があり、その金利は「無担保コール翌日物レート」と呼ばれ短期金利の指標とされています。
オープン市場とは一般企業や公的機関が自由に参加できる短期の資金調達の場で、CD(譲渡性預金)市場、CP(コマーシャルペーパー)市場などが含まれます。
<長期金融市場>
株式や債券が取引される「証券市場」と、金融機関等による長期貸出を中心に取引される「長期貸付市場」に分けられます。日本で取引される長期金利で代表的なものは各年限の国債利回りや金利スワップレートなどで、長期金利の指標とされるのは「新発10年国債利回り」です。
世界的に見ると米国債が長期債取引の中心で、中でも「米国10年債」が指標になっています。
イールドカーブとは?
短期金利と長期金利の市場が分かれていると言っても、金利が分断されているわけではありません。両方を合わせて金利状況が形成されます。
縦軸に利回り、横軸に期間というグラフに表される曲線を「イールドカーブ(利回り曲線)」と呼びます。通常は長期になるほど利回りは高くなるため、右肩上がりの曲線になります。
中央銀行の金融政策
一国の景気動向の調整をする中央銀行は、通常、景気の過熱感が出ると、政策金利を上げ下げする「金利政策」を行いますが、ゼロ金利が続くいま出番がほとんどありません。現在、政策金利は上述した「無担保コール翌日物レート」です。
しかし、今の金利レベルでは操作の効果もなく、2013年以降日銀による金融操作目標は金利ではなくマネタリーベースという「量」に変更されています。そうした意向にもあるように、短期金利は金融政策の影響を受けやすいものです。
一方で長期金利は市場の需給、景気動向、インフレ動向の予測などに影響され、かつ米国などの長期金利の影響も受けやすいため、短期金利に比べて中央銀行の金融政策でコントロールしにくいと言えます。
金利は株式市場や為替市場に影響する?
金利は景気を反映し、市場の中の資金の動きに大きく影響します。金利自体を取引する金利スワップ取引というデリバティブ取引なども存在します。金利はただ債券や銀行預金の利息を表すだけのものではなく、国の景気状況を知る重要な指標になるので、為替、株式相場とも相互に影響し合います。
投資において、債券には興味がないという方も、金利の動きがそのまま各国の景気動向、株式や投資信託の値動きに繋がっていることを理解しましょう。
金利動向を知ることが、他の投資にも大いに役立ちますので、関連ニュースも是非チェックするようにしてみてください。