株価トレンドの指標となる移動平均線
テクニカル指標の中で利用頻度が多い指標の1つに、「移動平均線」があります。これは、一定期間の価格の平均値をつないだ線のことです。一定期間は使う人によってさまざまですが、日足では短期は「25日移動平均線」、長期は「200日移動平均線」が一般的でしょうか。
移動平均線は日々の価格のばらつきが平準化されるため、価格そのものより方向性を探りやすい。つまり、移動平均線が「上向き」なら価格の方向性は上昇、「下向き」なら価格の方向性は下落と判断できます。
現在、日経平均株価の25日移動平均線は下向きながら28,961円(10月25日現在)付近を推移しています。200日移動平均線は上向きながら28,812円(同)付近を推移しています。
つまり、日経平均株価の現状分析は、短期的な方向性は下落基調である一方、長期的な方向性は上昇基調となります。しかし、200日移動平均線はいつまでも上向きが続くわけではありません。「上向き」→「横ばい」→「下向き」→「横ばい」→「上向き」と、かなり長期間かけて上げ下げを繰り返すこともあります。
そのような上下の傾きの変化は事前に察知することが可能です。いわば、株価トレンドの変化を知る(予想する)ことが可能なのです。
移動平均線の方向性を予測する応当日株価とは
そこで重要なキーワードになるのが、「応当日株価」です。応当日株価とは、例えば、200日移動平均線を計算する場合、当日から当日を含めた200日前の株価のことを指します。翌日の株価が応当日株価より高ければ、200日移動平均線は上向くことになります。逆に、翌日の株価が応当日株価より安ければ、200日移動平均線は下向くことになります。
このように、翌日の株価と応当日株価を比べることによって、移動平均線の方向を予測することができます。もちろん、翌日の株価は誰にもわかりませんが、急騰や急落でもない限り応当日株価との高安の関係は容易にわかるでしょう。
日経平均株価の今後の予想
では、日経平均株価の200日移動平均線の近い将来の方向性はどうでしょうか。10月25日現在からちょうど200日前は2020年12月30日の大納会にあたりますので、応当日株価は27,444円です。
当時は2020年11月からの強い上昇局面の最中にあり、その勢いは大納会を起点にした場合、2021年の2月16日の高値30,467円まで31営業日続きます。ということは、10月25日現在の28,600円付近でしばらく同じ水準が続くと仮定した場合、応当日株価が何日後に28,600円を上回るかを探れば、今から何日後ぐらいに200日移動平均線の上向きが止まるかが推測できます。
その答えですが、今から9日後あたりの応当日株価から28,600円を上回るようになってきます。そのため、11月前半には200日移動平均線は「横ばい」ないしは「下向き」に変化することがあり得ます。そのような前提で相場シナリオを考えると、将来のどのイベントが相場にどのように影響を与えやすいか、と思考することができます。
今後、11月に向けて200日移動平均線の「下向き」への変化を否定するようなポジティブな要因が出てくるのか、それとも「下向き」への変化を助長するネガティブな要因が出てくるのか。長期視点からの正念場を迎えることになりそうです。
※こちらのコラムは、2021年10月25日の大引け後に執筆しています。