豪雨の発生回数が増加傾向
近年、気候変動の影響に伴い、これまでにない規模の集中豪雨や大型台風などが発生し各地で水害が頻発しています。激甚化する気象災害を受けて、今年度から始まった「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」は河川・下水道・砂防流域治水対策、災害関連情報の高度化対策などを課題として挙げています。
国土交通省がまとめた「水害レポート2020」によると、1時間雨量50mm以上の年間発生回数は1976年~85年(10年間)の平均で226回でした。一方で2011年~20年(10年間)の平均は334回と増加傾向(約1.4倍)を示しました。
気象庁は50ミリ以上の時間雨量の定義について、道路が川のようになって一面が白っぽくなったり、傘が全く役に立たなくなるなど、災害発生の可能性がある激しい雨と位置づけています。気候変動の影響もあり、今後は水害のさらなる頻発・激甚化が懸念されています。
適切な水害対策が急務に
今年7月には豪雨の影響に伴い、静岡県熱海市で大規模な土石流災害が発生しました。過去を振り返れば2018年7月の「西日本豪雨」、19年9月の「台風15号」、20年7月の「令和2年7月豪雨」もありました。毎年のように各地でこうした豪雨や台風による災害が発生しているほか、熱海の土砂災害は違法な盛り土が災害原因だったとの見方もあり適切な水害対策が急務となっています。
株式市場では「水害対策関連」は日本で大規模水害が発生するたびに物色されるテーマ株になっています。関連銘柄として注目度の高い会社を以下にまとめました。
地盤・のり面工事など特殊土木や気象情報の分野に注目
ライト工業(1926)は地盤改良やのり面工事などを手掛けています。特殊な技術が必要になる難工事「特殊土木」の分野でパイオニアと称されており、地盤改良・のり面工事で国内トップの売り上げ規模を有しています。政府が進める国土強靭化と主力事業の相関性が高く、2022年3月期の売上高は前期比2%増の1100億円、営業利益は118億円と微増を見込み、前期に続いて過去最高を更新予定です。配当予想も9期連続の増配を予定しています。
今年7月の豪雨によって熱海市で土砂災害が発生した際に、株式市場では災害対策強化を見据えてライト工業に物色が向かいました。地盤改良に加え地すべり対策工事も手掛ける日本基礎工事(1914)にも買いが入り、株価が急上昇しました。
天気予報でも有名なウェザーニューズ(4825)は世界最大の民間気象情報会社と呼ばれています。世界50ヶ国でサービスを展開し、日本国内の約2500社と取引があります。陸・海・空のあらゆる市場に特化した気象情報を提供し、個人向けの天気情報はこれら法人向けサービスで培った気象技術やノウハウを活用したものだそうです。
2021年6~8月期の営業利益は前年同期の2倍となる5億2600万円となりました。個人向けサービスのメディア露出増や気象関連のサブスクリプション(定額課金)・広告事業の伸びが寄与しました。個人・法人ともに気象情報への注目度の高さが堅調な収益につながっており、株価も年初と比べて5割近く上昇しています。
豪雨や台風などが猛威を振るう中で、今後も水害対策関連の銘柄はますます注目を集める分野になるかもしれません。