◆スポーツの秋たけなわである。アメリカの大リーグも日本のプロ野球、Jリーグも佳境を迎えている。プロゴルフも男子、女子ともに日本オープンを終え、これから大きな試合が続く。先週は日本で開催されるPGAツアートーナメントのZOZOチャンピオンシップが行われ、マスターズ・チャンピオンの松山英樹選手が制した。最終18番ホールのPAR5。松山が5番ウッドで放った第2打はピンにかぶって真上から落ちてきた。鳥肌が立った。イーグルで優勝を決めた圧巻の凱旋勝利だった。

◆女子ゴルフも黄金世代、プラチナ世代と言われる若手選手が活躍してツアーを盛り上げる。そのプラチナ世代の代表が古江彩佳選手だ。先々週の富士通レディース、先週のマスターズGCレディースと2週連続優勝を果たした。実は東京五輪の代表争いを最後まで戦い抜いて敗れるなど不調が続いていたが、ここにきて完全復活。富士通レディースの優勝コメントに成長の跡が伺える。「ミスがつきもののゴルフなのにミスを許せなくなっていた。ミスしたら悔しいけれど、悔やんじゃいけない」。
    
◆投資に関するお薦め書籍で決まって挙げられるチャールズ・エリス『敗者のゲーム』。プロのテニスの試合はエースを取り合ってポイントが入るが、アマチュアはダブル・フォールトやネットに引っ掛けるなどのミスでポイントが入る。エリスは言う。プロのテニスは勝つためのプレーで結果が決まる「勝者のゲーム」、アマチュアのテニスは敗者がミスを重ねることで決まる「敗者のゲーム」だと。そしてトミー・アーマーの言葉を引く。「ゴルフで勝つための最善の方法は、ミス・ショットをできるだけ少なくすることだ」。

◆ゴルフでも投資でもミスはしたくないが、つきものである。東大卒のプロ・ポーカープレーヤーの木原直哉さんは、ミスをしたからといって後悔する必要などまったくないという。同じミスをするな、と言われても、やはりひとは同じミスを繰り返しがち。それでも「同じ間違いをしやすいところを発見した」くらいの気持ちでいいという。後悔などせずただ検証し、学び終えたら次に進むだけ。それが上達のコツだろう、ゴルフでも投資でも。レオス・キャピタルの藤野英人さんは常々こう述べている。「投資は勝つか負けるか、ではなく、勝つか学ぶか」であると。