ニューヨークに来て最初の営業日は、株式市場の大きな下落で始まりました。中国の大きな不動産開発会社である恒大集団の債務の返済が次々と迫っており、ちゃんと返済できないかも知れないとの説明を恒大集団がしたことがきっかけです。しかし懸念材料はこのことだけではなかったように見えます。

アメリカでは金融緩和を徐々に正常化していくことが議論され始めており、そのタイミングについての懸念があり、また議会が承認しないと国の債務(債券発行)額の上限に達しそうな懸念もあり、更にバイデン政権がキャピタルゲイン課税率を上げる懸念もありました。コロナのデルタ株によって経済再開がまた遅れる懸念もあります。更に米国株を始めとした株式市場での高値警戒感もあったでしょう。これらが全て、恒大集団のことをきっかけに、先ずは一旦売ろうと云うことになったのだと思います。

但し、少なくともアメリカのことに関する懸念は、全て中央銀行や議会が回避しようと思えば回避できることです。デルタ株のことも、心配はありますが、基本は状況は前よりも遙かに良くなっていることは明らかで、単に波があるだけでしょう。そして株式市場の高値警戒感のようなことはいつでもあることです。そうすると要は恒大集団がどうなるか?延いては中国の銀行の不良債権がどうなるか?と云う点に絞られます。

しかし中国は一党独裁、計画経済の国ですから、突き詰めると習近平がこの問題を回避するか否かにかかってきます。でもここがややこしいです。普通に考えると、習近平は中国発で世界金融不安になるのは避けたいと思い、行動する筈なのですが、彼は来年の共産党大会で事実上の終身国家主席に就くことを狙っているので、その為には、その時までは、世界の金融市場よりも、中国国内の貧富の差を縮めるスタンドプレイの方がしたくなるかも知れません。或いは一旦市場を崩してから共産党大会までに経済などを再建する手腕を演出したいかも知れません。

むう。全ては習近平の手の中か。ま、しかし、それは今までもそうだったかも知れません。なので、とどのつまり大きな変化は起きていないとも思えるのですが、とにかくは暫くは注意を払って観察する必要がありますね。更に忙しい1週間になりそうです!