東京大学応用資本市場研究センター(UTCMR)は昨日、政策提言レポート第4号「株主提案行使要件の引き上げに異議」を発表しました。
現在、経産省や経済団体に於いて、株主提案をしにくくしようという方向での議論が行われています。具体的には、株主提案権は総株主の議決権の1%以上の議決権、または300個以上の議決権を6ヶ月前から引き続き有する株主に認められていますが、この「300個以上」でも良いという条件を撤廃する方向での議論が行われています。これは、個人株主による株主提案権を著しく制限するもので、UTCMRとしては明確に反対しています。
特に機関投資家が投資対象としない中小規模の上場企業(多くのグロース市場上場企業)に対しては、個人投資家がこの株主提案権を活用して外部から企業に対して牽制を掛けているケースがあります。いわば機関投資家の手の届かない場所でのガバナンスを個人投資家が代替して肩代わりしている訳であり、中小規模の上場企業が多く、個人投資家が直接個別株投資を多くするという日本独自の資本市場にフィットした、とても大事な機能なのです、我が国の株主提案権は。その機能をなくすデメリットは、明らかに極めて大きいものです。それを株主提案が増えて上場企業の事務作業が負担になるなど程度のデメリットをなくすために法律を変えるのは、あまりにも本末転倒だと思います。
個人投資家の皆さま、是非声を上げてください!