ニューヨークの公立学校の新学期が始まり、実に一年半ぶりに対面授業が全面再開したとのこと。子供たちの間での感染拡大の懸念もある一方で、ワクチン接種が進んだことと、やはり保護者を日中働きやすくするため、即ち経済活動の再開を後押しすることに対する危機感が背景でしょう。日本のワクチン接種率は、恐らく今月末までにはアメリカのそれに追い付くでしょうから、行動制限もしくは自粛要請等の解除の議論は、これから日本でもとても活発になるでしょう。そこには常にトレード・オフ、選択が迫られます。そしてそれは日本は苦手な分野です。昔から苦手だった訳ではなく、恐らく1977年ダッカでの日航機ハイジャック事件での時の首相の発言辺りから、全体を見て論ずることを避けるようになってしまったのではないか、と私は感じています。然しながら、これは避けては通れない問題です。総裁選でも総選挙でも、聞こえのいい話ばかりを聞きたくはないですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。