東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続伸となり年初来高値を更新し約31年ぶりの高値を付けました。日経平均は137円高の30,584円で寄り付くと9時20分過ぎに57円高の30,504円まで上げ幅を縮めましたが、節目の30,500円を割ることなく踏み止まると上げ幅を広げ11時過ぎには348円高の30,795円まで上昇しました。しかし、高値を付けた直後に利益確定の売りが出て急速に上げ幅を縮めると115円高の30,562円で前場を終えました。

やや戻し199円高の30,646円でスタートした後場の日経平均は12時40分過ぎに220円高の30,668円まで上昇した後13時10分過ぎに115円高の30,562円まで上げ幅を縮めましたが、その後持ち直すと結局222円高の30,670円で取引を終えています。また、TOPIXも21ポイント高の2,118ポイントとなり節目の2,100ポイント台を回復し昨日に続いて年初来高値を更新したほか、新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇し、日経ジャスダック平均は年初来高値を更新しています。

2.個別銘柄等

東京海上ホールディングス(8766)が6.2%高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済み株式総数の1.1%に当たる750万株と300億円を上限とする自社株買いを発表したことが好感されました。昭和電工(4004)も6.2%高となりました。パワー半導体向けSiCエピタキシャルウェハーをローム(6963)に長期供給する契約を結んだことが材料視されました。

ホームセンター大手のアークランドサカモト(9842)も4.7%高となりました。販管費が当初計画を下回ったことや、とんかつ専門店の「かつや」などを展開する外食事業で営業外収益に雇用調整助成金及び時短協力金を助成金収入として計上することなどから通期の利益見通しを引き上げたことで大幅高となりました。

また、投資判断や目標株価の引き上げに反応したのがラクスル(4384)と住友ベークライト(4203)で、ラクスルが目標株価の引き上げを受けて一時6.7%高となり上場来高値を更新したほか、住友ベークライトも投資判断と目標株価の引き上げを受けて9.5%高となり年初来高値を更新しています。さらにマザーズ市場では転職サイトの「ビズリーチ」を運営するビジョナル(4194)が11.3%高となりました。2021年7月期の決算を発表し、新型コロナウイルス禍からの経済回復に向け管理職や専門性の高い人材の採用ニーズが拡大することなどから2022年7月期の経常利益が前期比で31.5%増となる見通しを公表したことで買いを集めました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は222円高となりました。昨日の米国市場で景気敏感株に買い戻しが入りダウ平均が6日ぶりに反発したことから買いが優勢となりました。その結果2月16日に付けた年初来高値(30,467円)をおよそ7か月ぶりに更新し、1990年8月以来約31年ぶりの高値を付けました。急ピッチでの上昇が続いているだけに利益確定の売りが出て上げ幅を大きく縮める場面もありましたが、短期的な過熱感が強いなかでも根強い先高観を背景とした買いで200円を超える上昇となったことから地合いは相当に強いといえそうです。

なお、日本時間の21時30分には8月の米消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、15日午前2時からはアップル(AAPL)が特別イベントを開催しiPhoneの次期モデルなどを発表するとみられています。また、明日は日本時間の11時に中国で8月の鉱工業生産や小売売上高など数多くの経済指標が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)