米ドル/円 

週間予想レンジ:108.00~110.50

メインストラテジー:戻り売り&レンジ取引

・保ち合い継続でも弱含み
・頭が重いなら調整波はなお継続
・米ドル指数の値動きと乖離

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週保ち合いで、109.11~110.23円といったレンジに留まっており、これはスピード調整の一環と見ている。そもそも米ドル/円と米ドル指数の値動きが乖離しており、先週米ドル指数の大幅続伸や年初来の高値更新があったからこそ、米ドル/円の頭を収める形となったため、この要素が続く限り、しばらく米ドル/円の頭は重いと推測される。

理屈としては、繰り返し指摘してきたように、米ドルの急伸があれば、ユーロなど主要外貨は米ドル高の受け皿として大きく売られるはずで、ユーロ/円などクロス円における外貨安/円高が米ドル/円に波及しやすく、かえって米ドル/円の頭を抑え込む。このような構造はしばらく続くと想定され、米ドル/円の上値追いがあっても後ずれすると見ている。

そもそも先々週の反落は、早期に底打ちの可能性を否定したところも大きかった。8月最初の週の大幅な切り返しがあったため、調整波の早期終焉があってもおかしくなかったが、先々週の高値トライ、またその後の反転をもって上放れ自体が「ダマシ」であったことを証拠付けており、目先は受動的とはいえ、しばらく円高傾向が続く見通しだ。この意味合いでは先週の値動きはあくまで先々週の値動きを踏襲する形の保ち合いとなり、過大評価すべきではない。

日足では、8月11日の高値トライは、一旦7月8日以来の高値を更新しており、このまま上放れのサインと化した場合は、米ドル/円の一段上昇をもたらすはずだった。しかし、当日に反落、また8月16日までの大幅な続落があったため、結局「フォールス・ブレイクアウト」のサインとして定着し、しばらく効いてくるだろうから、8月19日高値の110.23円までの切り返しは、結局「スパイクハイ」のサインを点灯し、また陰線で大引けしたという見方は維持されるだろう。

従って、早期切り返しを果たせない場合、このまま8月4日安値108.72円1の打診を有力視している。さらに、割り込みがあれば、一旦108円関門前後のトライも視野に入れている。言ってみれば、「フォールス・ブレイクアウト」のサインが点灯し、また効いているため、今週の保ち合いがあっても、なお調整波の継続が有力視される。

この場合は、やはり大型調整波の進行が推測され、大型ジグザグ構造の進行で測るなら、年初来高値の111.67円~8月4日安値の108.72円までの下落を最初の推進子波とみなし、8月11日高値の110.81円から同様の下落幅があれば、一旦108円関門を割り込み、107円円台後半の打診もあり得る。この意味合いにおいても、しばらく米ドルの続落を覚悟しておきたい。

ただし、仮に108円関門の割り込みがあっても、下値余地限定の見方自体は、継承されるだろう。メイン構造としての米ドル高/円安の傾向が安易に否定されず、また調整波の先行や深化があっても強気変動自体を修正できず、むしろ調整波の先行でこれからの上昇モメンタムに繋がる公算が高いと思う。もっとも調整波の先行自体、トレンドの健全化という視点において、むしろ歓迎されるべきかと思う。

肝心なことは、やはり円の位置付けが変わらないところである。円は主要外貨のうち最弱であり、4月から米ドル全体が大きく反落、また一旦2月安値を割り込んでいたにも関わらず、米ドル対円は強気変動を維持していた。つい最近(5月末~6月初)まで主要クロス円の軒並み高値更新もあって、円の地盤沈下が目立つ。先月から円高の圧力が継続されてきたが、あくまで調整的、また受動的な値動きで、しばらく続く可能性が大きいものの、本格的な円高への逆戻り、といった性質ではない。以前から述べているように、調整波の進行また下落一服があれば、中長期スパンにおいてむしろ押し目買いの絶好の好機とみなし、これからより健全な強気構造や米ドルの大幅上昇につながる公算が大きい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:76.00~79.00

メインストラテジー:戻り売り

・78円関門割れで下値を切り下げる
・商品相場総崩れで豪ドル売り
・スピード調整があっても限定的

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大幅続落し、一旦78円関門を割り込んだため、我々のターゲットをとりあえず達成したと言える。米ドル全面高(米ドル/円を除く)の流れの中、商品相場の総崩れで豪ドルが売られやすく、大幅続落はトレンドの示した通りであり、値幅の拡大があってもサプライズではなかったと言える。下落モメンタムの強さに鑑み、これからスピード調整があっても限定的で、しばらくは安値トライの流れが継続されるだろう。

そもそも先々週の値動き自体が続落のサインを点灯していた。以前述べたように、先々週は軟調で、値幅は限定的だったが、一旦前週の高値をトライしてから反落し、かえって弱気構造の強さを証拠付けたため、先週の大幅続落は自然の成り行きと言える。というのも、7月19日~23日の一週間、安値をトライしてから大幅反騰して大引けし、その後の値動きがすべて同週の値幅の中に包みこまれ、また8月第1週が陽線であったことも鑑み、「コップの中の嵐」とはいえ、やはり上放れに失敗したサインと読み取れ、5月高値を起点とした大型反落波の継続を強く示唆していた。

もっとも、7月20日に一旦80円心理大台を割りこみ、その後一転して切り返し、週足では高く大引けしたものの、それはショート筋の利益確定がもたらした結果に過ぎなかった。だからこそ、先々週一旦81.61円のトライがあっても長く続かず、再度反落してきたため、弱気構造の継続を示唆していた。

要するに、下落途中のスピード調整があったものの、ベアトレンド自体を修正できず、80円心理大台の一旦割り込みでむしろこれからの下落余地を拡大したため、弱いリバウンド自体も再度安値更新の蓋然性を暗示しており、先週一気に値幅を拡大させたのも、保ち合いの先行があったからだと思われる。7月20日~8月11日の保ち合いは、下落モメンタムの蓄えとなり、先週の下落幅の拡大も当然の成り行きであったわけだ。

この意味合いにおいて、8月11日罫線が示した「フォールス・ブレイクアウト」のサインが有効で、しばらく効いてくるだろう。80円関門を再度下回れば、78円大台の打診が射程圏に収まる。先週の78円関門の打診や一旦割り込みで76円前後の下値余地が拡大し、今週も続落するだろう。

日足におけるサインの連続点灯も鮮明であった。直近の値動きとして、7月6日の大陰線が重要であった。同日豪州中銀の会合で緩和縮小を決定したが、ザラ場にて一旦84.22円をトライしたものの、その後大きく反落し、さらなる安値トライや、また82円関門以下の大引けをもって頭打ちの構造を決定した。その後に続く7月8日の大陰線、またその後形成された「インサイド」の形成やその後の下放れを果たした分、ベアトレンドの構造をさらに深めてきた。

なにしろ、6月24日安値の83.96円を一旦割り込んだことが重要なサインだった。その後一気に3月24日安値の打診をもって頭打ちのサインを成立させた。5月10日の高値再更新が「フォールス・ブレイクアウト」のサインだったことを証明している以上、同サインの効き目がこれからも続くはずだ。またすでに効いている以上、効果の長続きも推測されることから、80円関門の割り込み程度では済まないと思う。

7月20日の「スパイクロー」のサインの点灯で一旦保ち合いの状況に入ったものの、結局81円前半に2回の頭打ちが確認され、また安値圏での保ち合い自体がベアトレンドの証拠の一環とみなされたため、先週の下落加速や一気にした78円関門割れにつながったわけだ。8月12日~20日まで連続した陰線を形成しており、また8月19日の長大線の形成で目先としては若干「売られ過ぎ」の兆しがあり、スピード調整の先行があってもおかしくないが、下落モメンタムの強さに鑑み、スピード調整があっても限定的で、頭の重い状況は変わらないだろう。

79円関門~79円台後半はメインの抵抗ゾーンと化し、下落モメンタムが強ければ強いほど、戻りの限界も限られるだろう。この意味合いにおいて、79円関門前後がすでに抵抗となる可能性も大きく、戻りの余地に過大な期待をかけるべきではないだろう。

ただし、先週の大幅続落があり、戻りの限界が限られたとはいえ、安値圏での立ち合いがやや長引き、安値トライが今週ではなく、来週に持ち越しになる、といった可能性もある。いずれにせよ、戻り売りのスタンスは不変であり、78円関門の打診や一旦割り込みがあったからこそ、下値余地が一段と拡大するのであり、当面下値リスクを警戒し、早期底打ちといった考え方に距離をおきたいと思う。