メキシコペソ

本日8月12日は、メキシコとトルコといった2つの新興国の金融政策会合が予定されている。まずメキシコだが、前回6月の会合では予想外の利上げ、「サプライズ利上げ」となった。丁度、その少し前に米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)があり、予想外にタカ派な内容だったとされてメキシコペソも急落していたので、米国の金融緩和見直しで後手に回らないために、利上げを急いだとの見方もあった。

米国の金融緩和見直し局面では、とくに新興国から資金が流出し、「止まらない通貨安」として通貨危機になったケースがこれまであった。その代表例が1995年の「メキシコ通貨危機」だったので、メキシコはより米国の金融政策転換には過敏になっている可能性があるかもしれない。

その文脈で言えば、先週の雇用統計などを受けて、米金融緩和見直し思惑が再燃していることもあるので、今週の会合でもメキシコは追加利上げに動くとの予想はあるようだ。では、メキシコが追加利上げに動いた時、メキシコペソは一段高になるかといえばそれは微妙ではないか。そもそも、前回、6月の「サプライズ利上げ」でも、その後のペソ上昇は限られるところとなった。

最近の5.5~5.6円の水準は5年MA(移動平均線)に近く、経験的には中長期的な高値警戒域と言えるところ(図表参照)。こういったことが、利上げでも、メキシコペソの上値が限られる理由になっているのではないか。

【図表】メキシコペソ/円と5年MA (2006年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

トルコリラ

そして同じ12日にトルコの金融政策会合も予定されている。先週発表されたCPI(消費者物価指数)の上昇率が前回より加速したことから、本来ならインフレ対策の利上げが予想されてもおかしくなさそうだが、今のところは政策金利据え置き予想が基本のようだ。

というのも、ここに来てトルコのエルドアン大統領が逆の利下げ圧力を強めているので、それを振り切っての利上げなどとても無理といった感じなのだろう。一時13円を回復したリラが先週から下落再燃となったのも、エルドアン大統領の利下げ圧力が影響しているだろう。