皆さんが投資に向き合う理由は、様々あるでしょう。既に投資に対する心構えや知識、経験を持ち、ご自身の目的に沿って投資スタイルを確立されている方はぜひ継続していっていただければと思います。一方で、投資初心者の方々のなかには、投資に興味はあるものの、どのように向き合っていったら良いか、迷っている方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、今回は投資に対する向き合い方の参考として、投資の大原則とともに、その奥にある投資、特に新興国投資にあたって最も大切な心構えについてお伝えしていきます。

これだけは守りたい!投資の大原則

冒頭で触れた投資の原則について、微に入り細にわたってテクニカルな話をすれば数多あると言っても過言ではありません。しかし、基本に立ち返れば、たった1つ、これだけは守りたいというシンプルな大原則があります。それは「わからないものには投資しない」ということです。

「なんだ、当たり前のことじゃないか!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここで重要なのは、そもそも「わかる」とはどういうことか、どの水準をわかるとしたら良いのか、ということです。

筆者の考える「わかる、わからない」の判定基準は、「他の人に理路整然と説明可能かどうか」を指します。例えば、学生時代の勉強でテキストを一読して何やらわかった気になったけれど、いざ誰かに説明してみようとするとどうにも言葉が出てこない…といった経験をされたことが、一度はあるのではないでしょうか。筆者も多分に漏れずあります。

これは上記に照らし合わせると、わかっていないことになります。このような、他の人に説明できない「わかった気になったくらい」の水準で投資するのは避けたほうが賢明と言えるでしょう。

それでは、投資にあたってなぜ「わかる」というのが重要なのでしょうか。それは端的に言ってしまえば、経験を次に活かすためです。投資は期待した通りの結果を生むとは限りません。当たり前ですが、利益を生むこともあれば、損失が生じてしまうこともあります。

ただ、1つ確実に言えるのは、投資対象について他の人に理路整然と説明できる程度にわかった状態で投資した場合、その投資の結果は次に投資をする際の判断材料として貴重な経験となります。一方で、投資対象について十分にわからない状態で投資した場合、その投資の結果はどちらに転んでも偶然の産物として経験の積み重ねとならず、次に繋がりづらくなってしまいます。このように、シンプルなことほど重要なことが隠されていると言えるのではないでしょうか。

新興国投資にあたって最も大切な心構え

しかしながら、「わからないものには投資しない」と言っても、誰しも最初はその投資対象について「わかった状態」であるわけではありません。特に新興国の通貨や株式などへの投資を考えるにあたっては、「そもそも、その国は世界地図のどこに位置している?」、「現地では何語が話されているのかな?」、「現地通貨は、何が使われているのだろう?」など、全くわからない状態からスタートするのが通常でしょう。

ここで、これまたシンプルな話になりますが大切なことは、「その投資対象が自分自身の知的好奇心を満たす対象かどうか」ということです。誰しも全く興味が湧かない対象について、「わかる」まで徹底的に調べてみようという気は、なかなか起こらないものです。一方で、自分の知的好奇心をくすぐられるような興味が湧く対象については、誰に何を言われなくとも自発的に気がついた時には「わかる」まで徹底的に調べてたり、自分なりに考えてみるでしょう。

投資は義務感を持って行うものではありません。投資家の方々、特に投資初心者の方は、上述のように投資の大原則に沿って「わかる」ことが重要です。ご自身の興味が湧く投資対象を見出し、「わかる」まで徹底的に調べてから、ぜひ愉しく投資に取り組んでいただければ幸いです。