株式市場も為替市場も金利市場も、投資に関わる全ての市場は相互に影響し合い、密接に関連して動いています。私自身は為替市場に携わる仕事をしていた経験があり、今回は市場の中でも為替の動きがもたらす影響について基本的な解説をしていきます。

外国為替とは

外国為替というのはご存知の通り、「自国通貨と外国通貨とを交換する」ことでありその交換レートの動きで相場が成り立っています。

一般的に日本で「米ドル高」と言うのは「米ドル高日本円安」の状況のことを意味します。米ドル対ユーロ(ユーロドル)、円対英ポンド(ポンド円)のレートなど様々ありますが、ドル円で米ドル高の時は多くの場合、他レートにおいても米ドル高になります。

理由は様々ありますが、米国の経済状況に良い兆候があったり、米国の高官による何かしらのポジティブにとれる発言に反応したり、米国経済の先行きに楽観的な要素があった時には相対的に米ドルにとって優位な値動きになるためです。

ちなみに米ドル円の場合は「1ドルあたり何円か」の交換レートですが、ユーロやポンドの場合は「1ユーロあたり何ドルか」「1ポンドあたり何ドルか」というレート表示になります。

そのため「米ドル高」傾向の状況を表すグラフでは米ドル円の場合は右肩上がりになりますが、ユーロやポンドでは「ユーロ安」「ポンド安」傾向を表すのは右肩下がりのグラフになります。

世界の多くの通貨においては日本円のケースのように「1ドルあたり」で表されていることが一般的です。

為替市場は他の市場と違い、24時間眠らない市場です。シドニー→東京→香港・シンガポール→ロンドン→ニューヨークと時差に合わせ、重なりながら24時間続きます。そのため取引においてオーダー(注文)を置くことがとても重要です。

為替レートの変動要因

為替レートは前述の通り、通貨ペアを構成する国の経済状況などにより動きます。具体的には、以下のような項目が挙げられます。

・二国間の金利差
・経済収支
・物価状況
・経済指標の発表
・要人発言
・政治状況(戦争、地域紛争、クーデターなど地政学的リスク)
・中央銀行のよる金融政策(介入など)
・巨大ファンドなど巨額資本の行動
・他市場の値動き

上記は為替市場のみならず、株式市場や金利市場にも言えることです。

為替市場においてはマーケットが大きいだけに、上記の項目だけでは理由がつけきれない謎の動きもしばしばあります。チャート信奉のFX投資家は上記のようなファンダメンタルズを見ずに売買する方もいます。

FX投資はしない、国内株式投資だけという方もいると思います。この点、密接に関連した他市場の値動き、つまりは経済状況などを把握することが投資成果の向上に大いに寄与することもあるのではないでしょうか。