暗号資産の暴落を考える

最近にかけて暗号資産の下落が急拡大した。代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)/米ドルは4万米ドルを大きく割り込み、90日MA(移動平均線)からのかい離率は、一時マイナス35%程度まで拡大した(図表1参照)。

【図表1】BTC/米ドルの90日MAからのかい離率 (2017年7月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ところで、少し興味深いのは、この90日MAからのかい離率で見ると、2017年以降はあたかも「判で押した」ようにマイナス43%で拡大一巡となってきたということ。それは、基本的には偶然の一致だったと思われるが、別の言い方をすると、BTC/米ドルは少なくとも2017年以降では、急落しても90日MAを5割以上下回ることはなかったわけだ。

さて、そんなBTC/米ドルの90日MAは、足元で5万3千米ドル程度(図表2参照)。それを43%下回った水準は丁度3万米ドル程度。そして5割下回るなら、2万6500米ドル程度といった計算になる。

【図表2】BTC/米ドルと90日MA (2017年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上のような、過去のBTC/米ドルの暴落局面のプライス・パターンを参考にすると、BTC/米ドルは3万米ドル前後で底を打ち、下落が加速しても2万5千米ドルは割れない可能性が高いといった見通しになる。

ただ別な言い方をすると、このような過去の経験を参考にした見通し以上にBTC/米ドルが下落するなら、それは最近の規制強化などを受けて、暗号資産がこれまで経験したことのないような下落リスクを試されている可能性も注目する必要が出てくるだろう。

ところで、このような暗号資産、BTC/米ドルの暴落と為替、株などの関係はどのように考えたら良いか。ちなみに、BTC/米ドルの90日MAからのかい離率がマイナス43%まで拡大したのは、2018年2月5日、同12月14日、2020年3月12日だった。これとNYダウの関係を見ると、いずれもNYダウ急落の途上だった(図表3参照)。

【図表3】NYダウと90日MA (2017年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上のように見ると、暗号資産の暴落に遅行する形で、株価の急落、リスクオフ拡大となるパターンが今回も起こる可能性は引き続き注目してみたい。