個別銘柄への投資をするなら、バリュー株と成長株、どちらがよいでしょうか。廣澤さんの考えを教えてください。
これまで初心者が少額で継続的に投資するという点で投資信託をご紹介してきましたが、投資の面白さを知った方には、ここぞという時に資金投入したい銘柄に出会えれば、ぜひとも個別銘柄にも挑戦していただきたいと思っています。
もちろん、有り金全部を一点投入といったリスクの大き過ぎる投資はNGです。個別銘柄を見ることで、個々の企業分析など、もう一歩進んで株式市場の勉強をしていくことになり、投資力もより強くなっていくことが期待できます。
さて、冒頭のご質問にもありますが、株式投資の代表的な種類にバリュー株投資、グロース株投資があります。簡単にそれぞれについて説明していきましょう。
バリュー株投資とは
バリュー株(割安株)投資とは、企業の実態・実力に対して株価が割安になっている株式への投資のことです。割安かどうかはPBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)といった株式指標の数値を見て判断、物色します。
PBRは株価を一株当たり純資産で割って算出した数値で、仮に会社が解散して資産を分けた場合に株主に分配される資産(金額)であるため「解散価値」とも呼ばれています。一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。PERは株価を一株当たりの利益で割ったもので、競合他社の数値と比較します(業種にもよりますが、10倍以下が一つの目安になります)。
バリュー株投資では投資時に比べ割安が解消されれば利益が出ますが、そのままその企業が弱体、より割安(=株安)になっていくリスクも当然あります。
グロース株投資とは
グロース株(成長株)投資とは、これから先、成長が期待される企業の株式への投資のことです。期待値が高まればく高まるほど、前述のPBRは高くなるため割高になりがちです。この先、実際に期待通りに成長していけば割高は解消されていくことになります。米国のGAFAと称される銘柄群のように短期間で何倍にも急成長するようなこともあります。
ただし、すでに割高な状況になっていても投資をすることにもなるため、銘柄選択はそれだけ難しくなります。
株式の投資手法としてどちらが正解かはありません。どちらのタイプに投資しても大きく利益を得る可能性もあれば、大負けする可能性もあります。
現在の米国市場のトレンドと今後の期待
2020年までの米国市場においては圧倒的にグロース株優位であったものが、今年2021年に入ってからバリュー株優位の展開になってきています。
コロナ後を見据えての物色により、経済活動が正常化したら盛り返すことを期待される業種などが注目を集めているようです。
日本株市場は米国株市場の動きを踏襲する傾向が強く、コロナ禍というパンデミックによる経済打撃に共通項があることからも、今後を見据えるという姿勢は日米同様と考えられるでしょう。
そもそも株式市場は投資家の期待値と予想の先読みによって形成されています。一歩先を読んだ程度の考えは、すでに織り込み済みとなっているものです。先の先まで読み、今後大きく成長する業種選定、企業分析をする必要があるグロース株物色はなかなかハードルが高いのは事実です。
買いやすさ、選びやすさ、そして米国市場のトレンドに乗る(日本株市場も同様のトレンドになるとにらんで)ならバリュー株投資かもしれませんね。
個人的には成長性に期待したい、でも割高で手が出しにくい、というものは投資信託を利用して、保有しながら将来に期待をしたいところです。