東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に3日続伸となりました。日経平均は4円高の29,688円で寄り付くと直後にマイナスに転じ取引開始から10分弱で152円安の29,530円まで下落しましたが、節目の29,500円を前に切り返すと10時40分過ぎにプラスに転じ64円高の29,748円で前場を終えました。67円高の29,750円でスタートした後場の日経平均はまもなくして124円高の29,808円まで上昇した後上げ幅を縮めマイナスに転じ14時50分過ぎに38円安の29,645円まで下落しましたが、引けにプラスに転じると結局2円高の29,685円とほぼ横ばいで取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に下落となりましたが、新興市場は堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

シリコンウエハーの大手のSUMCO(3436)が5.7%高となりました。橋本真幸会長兼最高経営責任者(CEO)が新工場建設を検討していると明らかにしたと伝わったことで生産能力の増強による収益向上を期待した買いが優勢となりました。ルネサスエレクトロニクス(6723)も4.3%高となりました。火災で一部稼働を停止していた那珂工場で半導体の生産を再開したと伝わったことで買いが優勢となりました。クリナップ(7955)も11.0%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルス感染症による業績への影響が当初見通しより軽微であったことや全社的な経費抑制及び原価低減等の施策の効果により2021年3月期の営業利益の見通しを7億円から25億円に引き上げたことが好感されました。ヤマダホールディングス(9831)も2.8%高となりました。13時に業績予想の上方修正を発表し2021年3月期の営業利益の見通しを752億円から920億円に引き上げたことから後場に入って上げ幅を広げる場面がありました。

一方でスクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)が3.9%安となりました。先週末に複数の買い手候補が関心を示していると伝わったことで急伸しましたが、売却に関して検討している事実はなく、そのような提案を受けた事実もないとのコメントを発表したことで売りがかさみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は2円高となりました。先週末の米国市場が新型コロナウイルスワクチンの普及による米経済の正常化が進むとの期待で続伸となり、ダウ平均とS&P500株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。しかし、日米首脳会談後の共同文書に「台湾」が明記され日米と中国の経済関係が悪化することが懸念されたことや、大阪府が緊急事態宣言を政府に要請する意向を示し、東京都も検討を始めたことなどが重石となりほぼ横ばいに止まりました。最近は上値の重さが目立つ一方で節目の29,500円近辺で底堅いといった展開が続いていますが、本日もまさにその通りの一日となりました。今週から3月決算企業の本決算発表が徐々にスタートしますが、それがこうした膠着した状態から抜け出すきっかけとなるかがポイントとなりそうです。なお、19日の米国ではコカ・コーラ(KO)やIBM(IBM)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)