2021年の米国株相場における3つのポイント
米国株が急ピッチで史上最高値を更新し続けています。
米国では、2021年3月11日に1.9兆ドルの「米国救済計画」が成立し、3月31日には、バイデン米大統領が2兆ドルのインフラ投資計画を発表するなど、米国経済にとって景気の良い話が続きました。そうした中、S&P500は先週4月16日にはザラ場中に4,191ポイントを付け、史上最高値を更新しました。年初からの上昇率は11.4%となっています。
2020年12月23日に行った米国株マーケットセミナーで、私は2021年の相場について以下の3つのポイントをお伝えしました。
(1)2021年は米国経済回復の恩恵を受けるバリュー銘柄がグロース銘柄をアウトパフォームするが、グロース銘柄が上がらないという訳ではない。
(2)GAFAM銘柄は今後も長期的に成長する為、株価が下がるようであれば、長期的な視点に立って投資を積み増す良い機会である。
(3)S&P500の年末のターゲットは4,100ポイントとする。(3月23日には4,150ポイントへと上方修正)
バリュー銘柄がグロース銘柄をアウトパフォームすると予測した理由
図表1をご覧ください。2021年S&P500が11.4%上昇する局面で、S&P500バリュー指数は13.6%上昇、つまりバリュー銘柄が市場全体を押し上げる結果となりました。では、バリュー銘柄が上昇する一方で、グロース銘柄が下がったかというと、そうではなく、バリュー指数をアンダーパフォームしたものの、グロース指数は同期間で9.6%上昇しました。これまでのところ予想通りの展開となっています。
年初からの3ヶ月半でバリュー指数が一服する局面もありましたが、その間はグロース指数が市場全体を牽引し、バリューとグロースが上手にローテーションをこなし、市場全体を押し上げる展開となっています。
この一連の流れの背景ですが、こちらの図表2の「S&P500スタイル別EPS成長率の推移と予想」を見ると一目瞭然です。2020年第4四半期に3.1%しか増えなかったバリュー指数のEPSは2021年の第1四半期には37%と大きく増益へと変わりました。その後、第2四半期になると、なんと99%の増益となる見通しです。
一言でいうと、今のマーケットはこのようなバリュー銘柄の業績の急ピッチの回復を織り込み中なのです。一方、決してグロース銘柄の業績が減益となることもなさそうです。グロース指数も第1四半期は48.5%増益予想、第2四半期には28%の増益予想となっています。ですので、節目節目でバリュー銘柄が一服すると、グロース銘柄が買われるという理想的な展開となっているのです。
GAFAM銘柄のパフォーマンスの違い
「買われ過ぎで割高だ」と言われていたGAFAM銘柄についても銘柄によってパフォーマンスに違いが出てきています(図表3参照)。年初からアップル(AAPL)は1.1%上昇、アマゾン(AMZN)は4.4%上昇ですが、アルファベット(GOOGL)は30.3%上昇、マイクロソフト(MSFT)は17.2%上昇、フェイスブック(FB)は12%上昇と、S&P500の11.4%の上げを上回っています。
GAFAM銘柄については、実際1月前半、3月前半の株価調整の局面では絶好の買いの機会を提供することになりました。
年末の目標値4,150ポイントを超えたS&P500の今後は?
2021年の年末のS&P500の目標値を出すにあたり、私が申し上げたのは「もしリスクがあるとするならば、この目標は控えめであるかもしれない」、そして、「年末より早く目標値に達する可能性がある」ということでした。実際、株価は米国企業業績の回復を一早く織り込み、上昇を続けています。
新大統領就任1年目は季節的に米国株が強いということもあり、S&P500は4,300ポイントを目指す展開になるだろうと考えています。
また、少なくとも夏の終わりまでは、これまでと同じような展開が継続されるのではないかと考えています。つまり、バリュー銘柄が相場を牽引し続け、節目節目でグロース銘柄が買われ、キャッチアップされ、相場全体を押し上げるという展開です。
詳細については近日中に、本コラムでお伝えしたいと思います。