みなさん、こんにちは。日経平均は弱含みとなってきました。

これは決算期末という要因もあるのでしょうが、やはり金利上昇懸念が相場の重石となってきているように思えます。これに、日銀によるETF購入目途の開示廃止や半導体の供給不安などが重なった格好となりました。

ただし、個別銘柄ではむしろ地合いの強い展開を示すケースも増えており、決して相場全体が失速してきたようにも感じられないというのが筆者の率直な印象です。引き続き、筆者は現在を絶好の銘柄研究時期であると受け止め、次に相場が動意づく時に備えておくべきだと考えています。
 

コロナ後の消費はどう変わるのか

さて、今回は「ポストコロナの消費性向」をテーマに採り上げてみましょう。

3月21日に首都圏もようやく緊急事態宣言が解除となり、これで全国的に非常事態下という地域がなくなりました。

もちろん、一部の都道府県における飲食店の営業はまだまだ時短要請があるうえ、近畿や東北では感染者数が増加傾向にあります。リバウンドへの懸念は依然として大きく、コロナ前の生活が一気に戻ってくるような期待ができる状況にはありません。

それでも、(程度の差は個々人であるとはいえ)抑圧された緊急事態宣言下の生活が少し緩和されてくることは間違いないでしょう。その分、これまでの我慢の反動となる「リベンジ消費」への期待も高まっています。

外出を楽しむファッション関連や旅行関連の消費などは、まさにリベンジ消費の中核を担う領域になると思われます。ただし、そのリベンジ消費も反動に過ぎない以上、一巡してしまえばその勢いは減衰する可能性があります。そこで本コラムではもう少し長期的な視点を軸として、ポストコロナにおける消費性向について考えてみたいと思います。

消費はより本質的な形へ

ポストコロナにおける長期的な消費傾向として、まず情報機器分野が挙げられるでしょう。これはリモートワークの定着に伴い、息の長い需要が期待できるのではないかと予想します。

この1年で既に情報機器を新たに調達された方も少なくないでしょうが、性能向上や利便性追求などのニーズは今後も継続するものと考えます。また、在宅時間の長時間化により、中食や内食向けの食材やテイクアウト型食品、調理器具などのニーズも底堅いのではないでしょうか。

飲食店の営業時間延長やリベンジ消費も相まって外食への再シフトはあると想定しますが、やはり現在も時短状況にあることや中食・内食といった新しい生活様式の浸透が需要を下支えすると考えます。

とはいえ、やはり外に出て風景を楽しみ、誰かと時間を共有することは実に楽しいものです。巣篭り生活の中でそういった体験の重要性を感じられた方も多いはずです。これらはリベンジ消費的なものというよりも、より本質的な消費性向を産み出していくのではないでしょうか。

平成に発生した幾つかの大震災を経て、我々の中で天災への考え方、防災意識がかなり浸透したように、です。

資産性の高い高額商品にも注目

筆者は、これらに加え、資産性の高い高額商品にも注目します。

既に現象面で明らかなことは、給付金と消費機会の減少で貯蓄率は(過去5年では1%程度であったにもかかわらず)10%を越える水準となっている一方、(コロナで不便な生活を強いられているにもかかわらず)株価は上昇し、暗号資産に至ってはバブル的な急騰となっています。

不動産市況も、先日明らかとなった公示価格では下落となりましたが、住宅地などではむしろ上昇している地域もあり、マンション販売戸数も実はそれほど減少していません。リモートワークの浸透で都心のオフィス賃料が暴落するとの見方もありましたが、現在のところ、それは大きなトレンドとはなっていないように思えます。

つまり、お金が低金利で市中に潤沢に供給された結果、コロナ禍によって使われる機会のなくなった資金がこれら「資産性の高い商品」に向かっている傾向が見て取れるのです。

消費需要そのものは決して強くないことからインフレとまでは至っていないものの、お金の大量供給により資産インフレの兆しは着実に出てきていると言えるのではないでしょうか。これらの領域・分野に対しては今後、注目が集まってくる可能性は十分あるものと考えています。

実は、こう言った状況は1980年代後半の状況に酷似していると感じています。

1985年のプラザ合意以降、日本国民としては「天災」のような急激な円高により、多くの企業は人員削減を含めた「リストラ」に着手しました。産業構造の転換も迫られ、日銀は(当時は)超低金利資金を長期間供給することとなりました。

しかし、円高不況下にもかかわらず株をはじめとした資産性の高い商品の価格はいち早く反転上昇したため、当時も「実体経済との乖離」が取り沙汰されていました。

その後は、ご存知のように好景気に転換し、「一億総中流」と言われるほど豊かな生活を謳歌するまでに至ります。もちろん、その後はバブル突入・崩壊へと繋がるのですが。

当然ながら、80年代後半を現在にそのまま当てはめることは危険ですが、過去の事例から学べるところも必ずあるはずです。現実にカネ余り状況となっている以上、こういった視点にもご留意いただければと思います。