これまでの連載でスクリーニング機能の活用方法を確認してきました。3月19日付の記事では、「食料品」業種の時価総額の低い企業のPERとPERを一覧する方法について解説しています。

PERとPBRを認識した上で改めて図表1(絞り込み条件などは3月19日付の記事を参照ください)を見てみると、PERは低いものですと10程度、PBRは1を切っている企業が多そうです。PER・PBRがいくらだと割安かは、利益の成長性や安定性、保有している資産の性格などによって異なり、一概に言うのは簡単ではありません。

【図表1】「食料品」業種の中から小型で割安な企業を検索した結果の一覧(3月19日付の記事より)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2021年3月19日時点)

例えば、同じ食料品の企業でもブランド力があり、安定的な売上が期待できる企業と比較的競争力のない企業、現金やそれに類似の資産が多い企業と土地の価値が高くない自社工場が中心の企業では、同じ利益・資産でもその内容で評価が大きく異なるというのは想像しやすいかと思います。ただ、同じ業種で時価総額の近い企業であれば、その72社の数字の傾向は、ある程度参考にできそうです。

現在はコロナ禍の影響もあり、利益水準はかなり特殊な状況だと思われます。それに比べると、過去の蓄積である資産は、各社の比較において、より適切だと思われます。スクリーニング機能では様々な項目で並び替えを行うことができます。PBRを高い順・低い順に並び替えてみましょう。

【図表2】図表1をPBRが低い順に並び替えたもの
出所:マネックス証券ウェブサイト(2021年3月19日時点)
【図表3】図表1をPBRが高い順に並び替えたもの
出所:マネックス証券ウェブサイト(2021年3月19日時点)

PBRが高い順のトップであるSTIフードホールディングス(2932)はセブンイレブンに水産食品を納入しており、2020年9月に上場した企業です。売上高や営業利益はここ数年で大きく成長しています。同社の商品を見ると、セブンイレブンで販売されている「さばの塩焼き」、「ほっけの塩焼き」など電子レンジで簡単に温めて食べられるものや、「たこぶつ」、「炙りしめさば」などのおつまみなどを製造しているようです。これらはセブンイレブンの惣菜売場の中心で売られているように思い、特に巣ごもり消費の中では好調そうで高く評価されているのでしょう。

製パンメーカーであるコモ(2224)も長期保存の可能なパンの需要が高まっており、業績好調です。割高な銘柄には割高な理由があるようです。

一方、PBRが低い順の上位は知名度も低い銘柄が並んでいます。72銘柄を順に見ていくと、確かにブランド力があり、安定していそうな銘柄はPBRが高いのだな、ということが分かります。その中で、相対的に良さそうな銘柄でPBRが低いものを探すのが、銘柄探しの醍醐味でしょう。

岩塚製菓(2221)は過去の記事で取り上げたように優良資産を持っています。日本甜菜製糖(2108)や大森屋(2917)、マーガリンのミヨシ油脂(4404)なども業績が安定しているように思われます。

それでは一覧から、より良さそうな銘柄をどのように確認していくかを次回、解説したいと思います。