前回コラムでは、「上向きの5日移動平均線上を維持できるかが注目ポイントになりそう」とお伝えしました。

また、「仮に5日移動平均線上を維持するようですと、まだ埋まっていない2月25日と26日の間にあけた窓を埋めることが期待されると同時に、高値に接近したり、上回ったりすることが視野に入ります」としましたが、果たして結果はどうだったのでしょうか。前回コラムで指摘したことを振り返りながら検証したいと思います。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

新たな窓の発生と25日移動平均線割れ

チャートを見ると、前回コラムで指摘したように上向きの5日移動平均線上を維持していたことから、3月18日には終値で3万円台を回復すると同時に2月25日と26日にあけた窓を埋め、一時2月16日の終値ベースの高値を上回って、取引時間中の高値に接近する場面がありました。

この上昇のきっかけとなったのがFOMC(連邦公開市場委員会)の結果と米国株の反応です。FOMCで2023年末までゼロ金利政策を継続するとしたことが米国市場で好感され、NYダウなどの主要株価指数が買われました。その流れを受けて、東京市場でも日経平均が5日移動平均線上を維持していたことから、買いが優勢となって始まり、高値に接近したと考えられます。

一方で、翌3月19日には5日移動平均線を下回って始まると、終値では25日移動平均線上を維持しましたが、さらに翌営業日の3月22日には窓をあけて25日移動平均線を下回って始まると、そのまま25日移動平均線を下回ったまま終えているのが分かります。

そして3月23日は反発して始まりましたが、25日移動平均線を上回ることができず売り物に押され、3月8日以来となる29,000円割れで終える結果となりました。

ここで、3月19日や22日の売り材料となったのが、日銀のETF買いの修正です。3月19日の取引時間中に、これまで続けていたETF買いの銘柄をTOPIX連動型のみに限定すると発表したことを受け、3月19日だけでは売り物を吸収できず、3月22日も下落する結果になったのではないかと思われます。

25日移動平均線の1週間先予測

ではこうした状況を踏まえ、今回発生した窓はどの種類の窓と考えられるのでしょうか。
私は過去の値幅の範囲内であることから、コモンギャップ(=普通の窓)ではないかと考えています。そのため、25日移動平均線を下回っているものの、きっかけ次第では窓を埋めることも視野に入るのではないかと思います。

ただ、ここでポイントになるのが、5日移動平均線と25日移動平均線の向きです。今回発生した窓を埋めるためには、25日移動平均線を上回る必要があるわけですが、3月23日時点の25日移動平均線は下向きに変化しているのが分かります。

また、下向きの5日移動平均線が25日移動平均線を下回る寸前まで接近してきており、急反発できないと、デッドクロスが発生して上値の抵抗になると同時に窓を埋めるのは難しいと考えられるのではないでしょうか。

さらに、25日移動平均線の1週間先までの向きを予測しますと、もちろん、何か材料が出て3万円台を回復する可能性はありますが、日経平均が3万円前後まで戻らないと、25日移動平均線の下向きが続くと考えらます。

そのことに加え、日経平均が25日移動平均線を下回ったままで推移するようですと、25日移動平均線が上値の抵抗になる可能性が高まり、下落基調が続くと考えられるのではないでしょうか。

今週、3月19日と22日の間に発生した窓を埋めて25日移動平均線上を維持できるかが、今後の値動きのカギを握っていると言えそうです。