米ドル/円  日足

週間予想レンジ:108.50~110.50

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・続伸の流れが加速
・新たな段階入りを果たす
・米ドル売り筋を踏み上げ

 

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週、続伸となり、一時109.24円の打診をもって、新たな段階入りを示唆した。今週の焦点は109円台に定着できるかどうかだ。年初来の切り返しや、先々週の大幅続伸もあって一見して「行き過ぎ」の領域に入り、調整的な値動きの先行を警戒すべきだが、上昇トレンドの明白さやモメンタムの強さに鑑み、むしろ一段高を覚悟すべきかと思う。

何しろ、109円台の打診や定着、2015年高値から引かれてきた抵抗ラインのブレイクを示し、2015年高値から形成された大型トライアングル型の保ち合いが非常に長い歳月をかかっただけに、ブレイクに伴うモメンタムが強くなり、またスパンも長くなる公算も大きい。2020年6月高値109.86円のブレイクがあれば、コロナショック後の高値だった111.72円が射程圏に収め、しばらく米ドル高・円安の流れが加速されるだろう。

もっとも、米ドル/円の上昇、米ドル全体の切り返しや米長期金利の急伸とリンクした値動きには、より健全な側面が備えられている。度々指摘したように、そもそも円は諸外貨のうち一番弱い存在で、米ドル全体の切り返しをリードするため、円が受け皿として一番売られてきた。年初来、米ドル対円の急伸や、一番よいパフォーマンスの達成により、同ロジックが再度証明されているわけだ。

つまる所、円はリスク回避先としての役割を失っており、受動的な立場がますます強まっていることが再確認されている。よって米ドルのみではなく、しばらく諸外貨にも「振り回される」値動きが見込まれる。

主要クロス円のブルトレンドの維持や強化で円安の流れは年初来継続され、米ドル/円の下支えとなり、また円安の一段加速につながる。ドルショート筋が継続的に「踏み上げられる」側面も推測され、108円台前半がすでに支持となったことに鑑み、更なる続伸が有力視される。実際、米ドル高の進行が急であるだけに、新たなドルショート筋の参入も推測され、トレンドを更に強化する原動力となり得る。

つまる所、2020年3月高値から形成してきた大型「下落ウェッジ」に対する上放れが「ホンモノ」であり、これからは2015年高値から計算された大型保ち合いの上放れを果たす。そのため、年初来の上昇がもはや保ち合いの一環ではなく、新たな推進波と見なされるべきだと思う。この場合、目先なお途中であり、早晩2020年高値112.22円の打診やブレイクを果たすことが考えられる。

先週も強調したように、強いモメンタムが維持されるだけに、2020年6月高値など上値ターゲットを一直線にトライしてもおかしくない。「スピード違反」や「買われ過ぎ」の疑いがあったからこそ、更なる上昇の加速につながる可能性が大きく、当面は順張りしか対応できない。この意味では、過熱感が更にあるからこそ、「押し目待ちの押し目なし」といったリスクのほうがなお大きく、今週も先週と同様、場合によっては積極的な高値追いも考えられる。


豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:84.00~87.00

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・メイントレンド加速
・モメンタム再強化
・豪ドル/円次第の側面が大きい

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場も先週、続伸となった。2月高値を超えなかったが、その高値に最接近し、週足では再度陽線を形成し、メイン基調の維持を示唆した。もっとも、2月最終週では高値を更新してから反落し、「スパイクハイ」風の陰線で大引けとなった。一旦頭打ちを示唆しただけに、先週の続伸や高値接近は途中の調整が限定的となり、上昇波の一段延長や加速を示唆した。

もっとも、ドル全体の切り返しが加速されていたことに鑑み、豪ドル対米ドルの反落がこれから一段と値幅が拡大される可能性も大きく、豪ドル/円の豪ドル次第と思ったところも大きかった。しかし、先週の値動きが示したように、豪ドル/円のパフォーマンスに影響される側面が大きくなり、今週引き続き上昇しやすい環境にある。

つまる所、諸外貨のうち、円が一番弱い存在であるため、豪ドルの反落があっても円売りに勝ることはなく、メイントレンドとしてのブル構造が維持され、高値圏でのレンジ変動があってもメイン構造が維持される公算だ。

2月最終週の陰線では、一旦調整の先行を示唆していたが、2018年12月に高値を一旦ブレイクしただけに、更なる上値余地を拡大している。先々週からの続伸もあり、想定より調整波の値幅が限定され、また早期終了の可能性が示唆された以上、今週再度高値更新となる蓋然性が高い。そのため、「押し目待ちに押し目なし」といったリスクのほうが大きくなるとも推測される。

2020年8月高値をブレイクした後の上昇が一段と加速され、また同高値のブレイクによって日足における「三尊底」というフォーメーションの成立を確定しただけに、同フォーメーションの維持がなお大きな影響を果たすだろう。2020年3月のコロナショック時の安値を「ヘッド」と見なした場合、2018年12月安値を含め、複合型「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」の成立がより鮮明化される。

2月の高値トライをあくまで途中とみなし、調整波を経て更なる上値余地を拡大する公算である。先週の続伸で、大した調整なしという可能性も大きくなったと言える。同フォーメーションの支持なら、2017年高値90.42円への戻りも想定される。

前回コラムでも述べた通り、円の最弱な立場に鑑み、調整波自体が高値圏での保ち合いという形で完成されやすく、先々週からの値動きをその一環とみなす場合、強含めの保ち合いと解釈される。82~83円台がすでにメイン支持ゾーンとなり、更に先週の続伸で84円関門前後に上方修正された。今週大した押し目がないうちに高値再更新となることを覚悟する。

その半面、早期高値更新を果たせない場合は要注意である。この場合は上昇波の進行があってもモメンタムの低下が再度確認されるため、頭打ちされやすく、レンジ形成に動くだろう。ただし、この場合でも82~85円といったレンジの修正に留まり、安易な反落波の拡大にはつながらないだろう。もっとも、82円台後半はメイン支持として有力視され、82円関門への接近があっても一時的な「ダマシ」に留まれば、ブルトレンドの勢いが維持される公算だ。一旦高値トライに失敗する局面があれば、引き続き押し目買いの好機とみなせる。