米ドル/円相場は円安方向を保ちながら、一目均衡表では雲を上抜け、遅行スパンが好転する強気局面入りとなっています。以下の図表にて、遅行スパン(黄線)が実線(青線)を上回る様子が確認できると思います。
ただ、この流れが続けばよいのですが、勢いをみるRSI(14日)は横ばい、ないしは弱含みです。RSIが強弱の分岐となる50%を下回ると、急速に円高方向に変化する可能性があります。
もっと重要な見方は、2020年、コロナショック時に乱高下した値幅の中心レベルに来ていることです。概ね、106.16~107.19円(図表で示した赤太の水平線)です。
コロナショック時の2020年2月高値と3月安値の中値(107.19円)とコロナレンジ内にある2020年6月高値と2021年1月安値の中値(106.16円)です。過去の終値ベースの値動きから算出しました。取引時間中に付けた高値や安値を使うと微妙に違った水準になりますが、大体の水準として参考にしてください。
過去のもみ合いや乱高下した際の中心(中値)は、後々の重要なフシ(上値抵抗や下値支持)になり得ます。米ドル/円は107円台をうかがう動きになっていますが、中心レベルのフシで頭打ちになるならば、3月は円高方向への反落を警戒すべきだということです。
2009年以降の3月相場を振り返ると、2009年~2015年まではすべての年で月足は陽線(月初よりも月末の方が円安に進んでいること)でした。しかし、2016年~2019年までは陰線(月初よりも月末の方が円高に進んでいること)が続きました。そして、2020年3月は円高→円安→円高と値幅を伴った荒れ相場となったことは記憶に新しいところです。
一方、2020年12月8日付コラムでご案内した内容を振り返ってください。
米ドル/円の年足チャートを掲載していますが、2021年は転換線がようやく上向きに変わる年です。これが、足元までの円安要因であり、当面の円安を示唆している可能性があるとした場合、短期的な円高となっても、円高が一巡したあとは、赤太の水平線を超え、2020年6月高値の109円台を目指すシナリオも考えられるでしょう。