先週、株式相場は大きく調整した。ストラテジーレポートで述べた通り、押し目買いの好機である。再度、要点を述べれば、①米国の個人投資家の投機行動による米国市場の混乱の余波を受けたもので、日本株がここまで調整する本質的な理由はない。②VIX上昇による機械的な売り要因はあるが、ファンダメンタルズの変化に基づく変調ではないので一時的なものである。③決算発表が本格化する中で業績の上方修正が明らかになりつつある。不安心理だけで売られ、好決算に逆行するような相場の動きはミスプライシングであり早晩、修正される。④ドル円が75日線を上抜け、明確にトレンドが変わってきた。株式市場は円高に反応しなかった分、多少の円安にも反応しないが、好材料であるのは違いない。

週明けは反発して始まるだろう。先週末の急落は東京時間のダウ先物安を反映したものだから、金曜日のNY市場の急落はすでに織り込み済みだ。シカゴ先物は29日の大取終値を210円上回った。上述の通り、為替は円安に動いており、海外で円は一時、104円85銭まで下落した場面があった。今週は基本的に戻り相場と見るが米国株の落ち着き次第というところはある。

米国株の調整は、ゲームストップ株の買い上げによる「レディット狂騒曲」の様相だが、その素地は整っていた。そもそもイールドスプレッドが2019年5月以来となる3.3%台まで低下、株価の割高感が意識され、いつ大幅な調整が起きても不思議ではなかった。今回の調整でいったんアク抜けしたが、バリュエーションと金利の関係は依然、危険水準にあるので要ウォッチの状況は継続である。

出所:Bloombrgデータよりマネックス証券作成

国内では政府による11都府県を対象とする緊急事態宣言について解除の可否判断に注目が集まる。西村経済再生担当相は29日の記者会見で、今週の適切なタイミングで専門家らによる諮問委員会を開き、緊急事態宣言の延長など「今後の対応を判断していきたい」と述べた。全面的な解除は望めないため売り材料になるとの見方もあるが、むしろコロナ対策の徹底は長い目で見ればプラス材料だろう。

今週も注目の決算が相次ぐ。1日には任天堂(7974)とレーザーテック(6920)、2日にパナソニック(6752)、3日にソニー(6758)の決算発表がある。米国では2日のアマゾン(AMZN)とアルファベット(GOOGL)。中国のアリババ(BABA)も2日に発表だ。

月初に当たり米国の主要経済指標の発表も目白押しだが、いまの市場は足元の経済指標には反応しないだろう。

今週の予想レンジは2万7500円~2万8500円とする。