インフレへの備え
「自分の大切な資産のほとんどを預貯金口座に入れっぱなし」ということはありませんか。
現在、メガバンクの普通預金の金利は0.001%です。100万円を預けても、利息は1年で10円(税引き前)しかつきません。
複利計算で元本が2倍になるまでの期間を簡便に求められる「72の法則」という計算式があります。この法則では、例えば金利0.001%の普通預金に預けた100万円が2倍になるまでには、「72÷0.001=72,000」およそ72,000年という途方もない年月がかかることになります。
ところがご存知のように株式をはじめ、土地、不動産などの資産相場の値動きはそんなのんびりしたものではなく、コロナ禍の今も市場は比較的、活況です。
また、インフレともなれば資産価格は次第に上昇します。何年後かにマイホームを手に入れようと預金している間に、マイホーム価格がはるかに上昇していることもあり得るのです。身近な日用品や食品でも、ひとたびインフレになれば、あっという間に価格が上昇することも考えられます。
このようなインフレに備える自己防衛の手段としても、資産運用は重要な意味を持ちます。
投資と投機の違い
投資と聞いて投機と勘違いしてしまう方も多いようですが、投資と投機は違います。投資にはリスクが伴いますが、イチかバチか、「当たる」か「当たらないか」というギャンブルとは全く違います。
投資はリスクをコントロールすることで、損失をある程度回避しながら利益を狙うこともできるものです。継続することで時間を武器にした運用成果を得られることもあります。
もし平均年利回り5%の運用ができれば、15年弱で元手が倍になることになります。投資では、欲張り過ぎず、慌てず、焦らず、なるべく手間をかけなくても、少しずつリターンを得る仕組みを作ることも不可能ではありません。
リスクの理解と許容
そのためにも投資をする上で、自身の資産のうち、どのくらいであればリスク資産に回せるのか、どのようなリスクであれば落ち着いて受け入れられるのかを考えることは大事です。
投資の世界においてリスクはブレ幅を指します。リスクが大きいものほど大きなリターンが期待できる一方で、時として大きな損失が発生する場合もあります。
ですので、人から勧められて一点集中で全財産を投入するような、まさにギャンブルのようなことは決してしないでください。
まずは投資の世界にどんなリスクがあるのかを知ることから始めましょう。その上で精神的に右往左往しないでいられるリスク、自分のリスク許容度を見極めましょう。つまり、自分は「どの程度の損失なら発生しても耐えられるか」ということです。
例えば100万円の資金で投資をしたとして、「もし5万円値下がったら…、50万円値下がったら…、自分はどう感じるだろうか、平静でいられるだろうか」というようにシミュレーションしてみることです。そうすると、リスク許容度に応じて自分がどの金融商品への投資に向いているかが分かるでしょう。
長期的な資産形成のための下地を作ろう
自分が投資対象とするもののリスクが、どのような要因で生じるのか、その投資にはどのような種類のリスクが内在しているのかを理解しましょう。
世の中でブームになっている投資がどのようなもの、また状況なのか、その他、経済の動き、その理由、世の中の関心を知ることで、投資への理解が一層深まることでしょう。
ブームの最後に慌てて飛び乗ると、高値掴みで失敗することもあります。
しかし、ブームの根底をしっかりと理解し、欲張らないことで、恩恵を得ることも可能だと思います。
世の中のトレンドにアンテナを張り、無理をしない投資で長期的な資産形成のための下地を作っていきたいですね。